投資の本質は“中身”…過去の実績やネーミングだけで選ぶリスク

投資というのは、お金が自動的に増えていくわけではありません。投資を受けた企業が商品開発やサービスの拡大を通じて価値を創造し、その利益の一部が投資家に還元されるという構造です。そのため、過去の実績がよかったからという理由だけで投資先を選ぶのは合理的な判断とはいえません。

たとえば、「新興国株式インデックス」は直近1年間で61.8%という高いリターンを記録していますが、この結果だけを見て「新興国全体が成長している」「半導体と同等のリターンが期待できる」と判断するのは危険です。

中身を分解すると、台湾のTSMC、韓国のサムスンおよびSKハイニックスの3社だけで全体の28%を占めており、台湾と韓国の半導体企業が全体の数値を強力に押し上げているに過ぎません。同じ新興国でも、インドの「Nifty50(ニフティフィフティ)」という指数はマイナス6%となっています。

投資において重要なのは、ネーミングや表面的な結果だけで判断するのではなく、その中身となる企業がこれからどのような価値を創造し、約束を守っていくことができるのかを精査することです。

「75歳以上」に大打撃…26年5月に成立した「医療保険制度改正法」

こうした資産を増やすための投資判断と同時に、資産を守るための制度理解も不可欠です。2026年5月29日、投資家にとって影響の大きい「医療保険制度改正法」が成立しました。

これまで特定口座で運用して増えた利益には、約20%の金融所得税が課されていました。しかし今後の改正により、75歳以上の「後期高齢者医療制度」において、特定口座での金融所得が確定申告の有無に関わらず保険料や窓口負担割合の判定基準に含まれることになります。

つまり、特定口座で利益を出すほど、税金だけでなく健康保険料や介護保険料まで値上がりする仕組みが作られたのです。ただし、NISAでの運用益はこの判定の対象外と明記されているほか、施行日は未定となっています。

損失が出ても社会保険料は安くならない

この制度において、仮に投資で損失が出た場合、社会保険料は安くなるのでしょうか。結論として、損失が発生しても社会保険料がただちに安くなることはありません。

確定申告を行うことで、発生した損失分を翌年以降3年間にわたって繰越控除し、将来の株の利益や配当金と相殺することは可能です。これにより、将来の社会保険料の増加を防ぐ効果はあります。

しかし、給与所得など他の所得から株の損失を差し引いて社会保険料を安くすることは認められていません。利益が出たときは税金と社会保険料の負担が増加し、損失が出たときの救済措置は限定的という厳しいルールになっています。