お盆が近づいてきた8月某日。大垣俊彦さん(仮名・69歳)は、3年ぶりに孫娘に会えることを楽しみにしていました。しかし、人見知りもあるのか、なかなか心を開いてもらえません。何とかして孫娘との距離を縮めたい俊彦さんが考えたのは、「お盆玉を奮発すること」でした。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「お金をあげないと孫の笑顔すら見れないなんて、虚しいな…」長男家族が帰ったお盆最終日、69歳男性がそれでもお盆玉を渡し続ける理由
お盆玉目当てだっていい。これからも会いに来てくれるなら
正樹さん家族が帰ったあと、ガランと静まり返った家の中で俊彦さんはため息をつきました。あんなに望んでいた孫の笑顔が見られたのに、俊彦さんの気持ちは全く晴れません。むしろ、お盆玉をあげないと孫に見向きもされないという事実に、虚しい気持ちになってしまったのです。
年金で暮らす俊彦さんの収入は、月14万円ほど。手取りは約13万2,000円です。総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)」によると、65歳以上の高齢単身無職世帯の平均可処分所得(手取り額)は、11万8,465円。俊彦さんの手取り額は平均より1万6,000円ほど多いことになります。
2万円のお盆玉それ自体は俊彦さんの生活を圧迫するものではありませんでしたが、「自分はお金をあげないと孫に笑ってもらえないのだ」と思うと、小さなため息が出てしまいます。
「それでも私は、お盆玉をあげてよかったと思ってるんです。私に会いたいわけじゃなくても、また会いに来てくれるならそれでいい」
そういって、俊彦さんは少し吹っ切れたように笑いました。
「お盆玉がないと笑ってもらえない」と聞くと切ないですが、これから孫との交流を重ねることで、徐々に距離が縮まっていくこともあるかもしれません。孫との関係性を途切れさせないために、俊彦さんはお盆玉を渡し続けることを選んだのです。
