「東大に受かった」。人生で最も誇らしかったその日は、夫婦にとって希望に満ちた一日でした。しかし数年後、その喜びは思いもよらぬ悩みに変わります。夢を追い続ける息子を応援したい。それでも、定年後の親には守らなければならない老後があります。子どもの夢と親の生活、その線引きはどこにあるのでしょうか。FPの小川洋平氏が解説します。
「頼むから卒業してくれ」…ひとり息子の〈東大現役合格〉に歓喜した夜から7年。在学費用800万円超、“いまだに大学生”でも62歳父が「退学しろ」と言えない理由【CFPが助言】
「子どもの夢」と「親の老後」…どこで支援に区切りを付けるべきか
近年は晩婚化や大学院進学者の増加などを背景に、親が定年を迎えても子どもがまだ学生という家庭は珍しくありません。
そのうえ、文部科学省「学校基本調査(令和7年)」では、大学(学部)卒業者の12.7%が大学院等へ進学。特に理系学部では大学院進学を選択する学生も多く、学生生活が長期化するケースも少なくありません。さらに、留年などによって標準修業年限を超えて在学する学生も一定数存在します。
もちろん、夢中になれるものを見つけること自体は決して悪いことではありません。実際、有名大学へ進学した後、自分の本当にやりたい仕事を見つけ、退学して起業したり、スポーツや芸術などの世界で活躍したりする人もいます。
しかし、その場合は「親の支援を受け続けること」とは切り離して考える必要があります。今回のケースのように、モータースポーツへ人生を懸けたいのであれば、大学を休学する、あるいは退学し、自ら働きながら競技を続けるという選択肢もあります。大学生は法律上も社会的にも大人です。夢を追う自由がある一方で、その結果について責任を負うのも本人です。
また、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度では、学業成績が著しく不振となった場合、奨学金が打ち切られたり、貸与終了後だけでなく在学中でも返還を求められたりする場合があります。学業がおろそかになれば、将来だけでなく現在の生活にも影響を及ぼしかねません。
そして、親にも守るべき生活があります。教育費を優先するあまり、自分たちの老後資金が不足すれば、将来的には子どもへ負担を掛けることにもなりかねません。そのため、まずは自分たちの老後の生活設計を考え、必要なお金を具体的に把握することが大事です。現実的に自分の家計がどうなるのかをシミュレーションしてみることで、どこかで支援を区切るという選択肢を息子に伝えるきっかけにもなります。
何より、老後の生活設計が立ち行かなくなり、経済的に困るようなこと、介護が必要になり息子への負担が大きくなってしまえば、他ならぬ息子の人生の足を引っ張ってしまうことになるかもしれません。
親子双方が納得したうえで支援の線引きを行うことも、親としての大切な役割ではないでしょうか。
「誰がその夢の責任を負うのか」を明確に
子どもの夢を応援したいという気持ちは、多くの親に共通するものです。まして、東大へ進学するほど努力を重ねてきた我が子であれば、「もう少し支えてあげたい」と思うのは自然なことでしょう。
しかし、親にも人生があります。定年後は収入が減少し、年金生活へ移行する中で、教育費や仕送りを際限なく続けることは、老後の生活そのものを危うくする可能性があります。
大切なのは、「夢を諦めさせること」ではなく、「誰がその夢の責任を負うのか」を明確にすることです。 親が安心して老後を送り、子どもも自らの選択に責任を持って夢へ挑戦する。その関係こそが、お互いにとって最も健全な親子関係と言えるのではないでしょうか。
小川 洋平
FP相談ねっと
【注目のセミナー情報】
【国内不動産投資】8月8日(土)オンライン開催
《短期償却×安定運用》
実質利回り15%前後も狙える「トランクルーム投資」
【事業投資】8月13日(木)オンライン開催
未経験・1人運営でも目指せる!
『買取大吉』の高収益モデルの全貌