慕われていたのは“部長”だったから…早期退職の先に待っていた「孤独な毎日」

目覚ましをかけず好きな時間に起き、近所を散歩したり、まだ明るいうちからお酒を飲んだり……。手にした自由に、喜びを感じるショウさん。しかし、その生活も長くは続きません。

退職から1ヵ月ほど経つと「時間ができたらやりたい」と思っていたことはひと通りやり終えてしまいました。趣味だったプラモデルも数十年ぶりに取り組むと、以前のように没頭することができません。

また、人と話す機会が極端に減ったことが、ショウさんの寂しさをいっそう深めました。気を紛らわせようと元同僚に食事の誘いを送りますが、忙しいのでしょうか、メッセージは既読のまま返信がありません。

そのとき、ショウさんはようやく気づきました。

「俺をつないでいたのは、“部長”という肩書きだったのか……」

会社を辞めると同時に、人とのつながりまで失ってしまったような気持ちになり、孤独感は日に日に大きくなっていきました。

その一方で、資産は少しずつ減っていきます。給与収入がないことから退職後は預貯金を切り崩して生活していますが、何十年もかけて貯めたお金も、使い始めると驚くほど早く減っていくことを実感し、焦りが募るショウさん。

さらに、無職という立場から賃貸マンションの更新審査にも不安を抱くようになりました。

思い詰めたショウさんは、「誰かと関わりたい」という思いからハローワークへ通い始めますが、製薬会社とはいえ長年管理職だったショウさんには、専門的なスキルもありません。かつての部長というプライドも邪魔をし、再就職は思うように進みませんでした。

駅で電車に乗り込む会社員を見かけるたび、こう思います。

「以前は嫌だった満員電車すら、いまでは恋しい」

自由を手に入れたはずのセカンドライフは、いつしか孤独と後悔に包まれた毎日へと変わっていました。