家づくりにおいて、好条件の土地との出会いは大きな高揚感をもたらします。しかし、一見順調にステップを踏んでいるはずが、いざ具体的な建築計画に進もうとした段階で、突然「家が建てられない」という窮地に陥るケースは後を絶ちません。本記事では、FPで宅地建物取引士である平井美穂氏が、実際の相談事例をもとに、注文住宅を建てる際の注意点をお伝えします。※個人情報保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
取り返しがつかないことになりました…首都圏・駅徒歩10分の土地を購入も、「家が建てられない」事態に。住宅ローンの“必須条件”を見落とした年収650万円・39歳会社員の〈想定外〉【CFPが警鐘】 (※写真はイメージです/PIXTA)

このままじゃ家が建てられない…“想定外の事態”に顔面蒼白

工務店が決まっていないことを伝えると、不動産会社の担当者から次のようにいわれました。

 

「大丈夫です。参考図面がありますので、この見積書と図面で住宅ローンの審査を進めましょう」

 

担当者にいわれるがまま、原さんは「参考プラン」で住宅ローンの正式審査まで通過し、土地を購入しました。

 

ところが、土地の引き渡し後に大きな問題が発生します。住宅ローン審査で使用した参考見積書では建物価格が1,800万円となっていましたが、実際に工務店と打ち合わせを始めると、「1,800万円ではとうてい建てられません」といわれたのです。設備や仕様をできるだけ抑えても、外構工事や諸費用を含めると建築費総額は約3,000万円になるとのことでした。

 

そこで原さんは銀行へ借入額の増額を申し込みましたが、「すでに土地代金の融資を実行しているため、いまからの増額はできません」と断られてしまいます。

 

「取り返しがつかないことになりました……。土地は買えたのに、肝心の家が建てられないんじゃ意味がない……」

 

筆者が相談を受けたとき、原さんはかなり落ち込んだ様子でした。

 

最終的には、原さんは住宅ローンを借り換えることで無事に理想の注文住宅を建てることができたものの、すでに融資を受けていた土地購入時の融資手数料や登記費用、支払利息など、200万円以上ものお金が無駄になってしまいました。

「注文住宅」で失敗しないためのポイント、3つ

実は、このような相談は原さんだけではありません。筆者のもとにも、これまで何件か同様の相談が寄せられており、決して珍しいケースではないと感じています。このようなトラブルを防ぐためには、次の3点が重要です。

 

1.土地探しを始める前に、依頼する工務店やハウスメーカーを決めておくこと。

2.希望する土地が見つかったら、実際に建築を行う会社に間取り図や見積書を作成してもらうこと。

3.建物本体だけでなく、外構工事や諸費用など見積書に記載のない費用も考慮し余裕のある資金計画を立てること。

 

注文住宅は、自分たちの理想を形にできる大きな魅力があります。しかし、理想を追求するあまり資金計画を見誤ると、完成間際になって大きな後悔につながることもあるのです。

 

だからこそ、土地選びと建物計画、そして住宅ローンは必ずセットで考え、余裕を持った資金計画を立てるようにしてください。

 

 

平井 美穂

平井FP事務所 代表

ファイナンシャルプランナー(CFP®) 

宅地建物取引士/証券外務員一種

 

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