退職金と預金を合わせた5,300万円の資産を元手に、入居一時金2,000万円の「高級老人ホーム」へ入居したユミコさん(仮名・68歳)。「これで一生安泰」と快適な老後を夢見ていたものの、わずか1年半で自主退去をすることに。閉鎖空間特有の「ドロドロした人間関係」に絶望し、安い賃貸マンションへ逆戻りした事例をもとに、老人ホーム選びの落とし穴と回避策をCFPの山﨑裕佳子氏が解説します。
こんなところ、もう1日もいたくない…「一時入居金2,000万円」を払った〈年金月23万円〉68歳女性の後悔。わずか1年半で「地獄の高級老人ホーム」から逃げ出したワケ【CFPの助言】
失敗しない老人ホーム選び…「理想と現実のギャップ」を防ぐ3つのポイント
理想の「終の棲家」を見つけるためのポイントを考えてみましょう。
「ハード」ではなく「ソフト(人間関係・雰囲気)」が重要
最初に目に入るのは、高級な設備や共有スペースの豪華さなどのハード面ですが、生活する上での居心地の良さを決めるのは、「入居者層」や「スタッフの質」というソフト面です。
入居を検討する際には、曜日や時間帯を変えて複数回施設を訪問して、外側からだけではわからない雰囲気を体感することが鉄則です。入居者同士の会話の様子、スタッフがトラブルに介入しているかなども観察してください。
「体験入居」でコミュニティを肌で知る
資料や見学だけでは、外からでは見えづらい、閉鎖空間特有の「暗黙のルール」は見えません。
多くの施設では「体験入居」を行っています。実際に何泊か宿泊をしてみることもギャップを埋めるためには大切です。共有スペースでの入居者同士の雰囲気や食事も体験して、自分に合う施設なのかを確認してください。
契約内容(特に返還金制度)を確認する
契約面では、「入居一時金の返還方法」や「返還金の計算方法」など、万一、退去することになったときの条件をしっかり確認しておきましょう。
最近は、「入居一時金」を抑えた「月額利用料型」の施設も増えています。支払い方式を選択できるケースもありますので、資産防衛の観点からどちらの支払い方式が自分に合っているのか慎重に検討してください。
また、将来、介護が必要になった際の追加費用についても確認が必要です 。
【CFPの助言】「自分らしく暮らし続けられる」を大切に
子どものいない単身者の場合、施設入居だけでなく、任意後見制度の活用や遺言書作成なども含めた老後対策を考えることが重要です。
現在のユミコさんの資産は、返還された1,400万円を合わせると約4,700万円となっています。しかし、月額23万円の年金と、68歳という年齢を考えれば、十分に立て直し可能ともいえます。
老人ホームは「終の棲家」と考えがちですが、実際には相性もあります。施設の豪華さや安心感だけでは、「自分らしく暮らし続けられる」保証はありません。
いずれは、再度施設に入ることになるにしても、今は、入居を急ぐのではなく資産を維持しながら元気なうちは地域で暮らすのも選択肢の一つです。焦らず、自分に適した施設を見つけていきましょう。
FP事務所MIRAI
山﨑 裕佳子
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
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