公的年金は複雑な制度であり、要件を満たすことで上乗せで支給できるものもあります。しかし、受給要件を満たしていても気づかずに受け取っていないケースが少なくありません。不動産会社を定年退職したタダシさん(仮名・68歳)もその一人です。ねんきん定期便に記載された年金額に満足していたタダシさんですが、自治体の年金セミナーをきっかけに、自身が受け取れるはずの年金を見落としていた可能性があることを知ります。見落とされやすい年金制度の仕組みや申請時の注意点について、辻本剛士CFPが解説します。
こんな制度があったのか!ねんきん定期便の「年150万円」に満足げな68歳男性。年金事務所で知った〈年42万円増額〉に歓喜【FPが「加給年金」を解説】
見落としがちな「加給年金」
「加給年金」とは、老齢厚生年金を受給する人のうち、厚生年金の加入期間が20年以上あり、生計を維持している配偶者や子がいる場合に加算される制度です。
対象となるのは、原則として65歳未満の配偶者、または18歳未満の子(一定の障害がある場合は20歳未満)です。条件を満たしていれば、老齢厚生年金に上乗せして支給されます。
配偶者がいる場合の加給年金額は以下のとおりです。
通常、65歳時点で厚生年金の加入期間が20年以上あり、加給年金の受給要件を満たしている場合は、老齢厚生年金の請求とあわせて加給年金の手続きが行われます。
一方で注意したいのが、タダシさんのように65歳時点では加入期間が20年未満だったケースです。
65歳以降も厚生年金に加入して働き続け、その後20年に到達した場合でも、自動的に加給年金が加算されるわけではありません。受給要件を満たしたあとに本人が申請しなければ支給されないため、見落とされがちなポイントといえます。
年42万円+過去分で家計にゆとり…実感した「確認の大切さ」
その後、タダシさんは年金事務所で加給年金の請求手続きを済ませました。
審査の結果、「年間約42万円」の年金が上乗せされることに。さらに、これまで受け取っていなかった分についても支給されることになり、思いがけない臨時収入となりました。もしあの日、知人から年金セミナーに誘われていなければ、タダシさんは加給年金の存在を知らないまま過ごしていたかもしれません。
年金制度は複雑なため、「自分は対象外だろう」と思っていても、実際には利用できる制度がある場合があります。ねんきん定期便を確認するだけでなく、気になる点があれば年金事務所や専門家へ相談することも大切です。
いま一度自身の加入記録や受給状況を確認してみてはいかがでしょうか。
辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表/CFP
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