1,000円を受け取った孫のリアクション

すると、すぐに袋を開けて中身を確認した孫は、信じられない言葉を吐き捨てました。

「うわ! ばあちゃん、ケチくせー!」

お礼どころか、悪態をつく孫。トモコさんはあまりのショックに、目の前が真っ暗になったといいます。

さらに絶望したのが、その様子を見ていた親であるはずの娘の反応でした。注意するどころか、「あはは、今どきの子は1,000円じゃ満足しないよね。お母さん、次はもっと奮発してあげてよ」と、一緒になって笑っていたのです。

「その瞬間、なんか『もういいや』って。万が一のとき娘たちに迷惑かけたくないから、夫が遺してくれた貯金の1,000万円には手をつけず、質素に暮らしていました。でも、こんな娘と孫のために、なんで私が我慢しなきゃいけないんだろうって感じて、ばかばかしくなりました。いまはもう無理に我慢せず、自分のために貯金を切り崩しながら美味しいものを食べたり、旅行に行ったりして楽しんでいます」

家族のために自分を犠牲にしてきたトモコさんですが、現在は娘家族と適度な距離を置いているそうです。

高齢・単身無職世帯のリアルな生活費

そもそも、トモコさんのようなシニアの単身世帯の生活は、決して甘いものではありません。

総務省が公表した令和6年の家計調査報告(家計収支編)によると、65歳以上の単身無職世帯の1ヵ月の消費支出は14万9,286円でした。トモコさんの年金収入は月12万円ですから、平均的な生活を送ろうとすると毎月3万円近い赤字が発生する計算です。

さらに、厚生労働省の「簡易生命表(令和6年)」によると、日本人女性の平均寿命は87.13歳と、69歳のトモコさんには、まだ20年近くの老後生活が残されている可能性があります。

こうしたなか、病気や要介護状態になったときの医療・介護費用を考慮すると、夫の遺産1,000万円は決して「余裕のある金額」とは言えません。

にもかかわらず、子や孫から金銭援助を「当然の義務」のように求められ、応じなければ悪態をつかれる状況……トモコさんが「孫が可愛くない」と感じるのも無理はないでしょう。