良かれと思って贈与したのに…裕福な60代夫婦の“誤算”

「後悔しています……生前贈与なんてしなきゃよかった」

そう言って声を詰まらせるのは、都内在住のオサムさん(仮名/69歳)と妻のユキエさん(仮名/66歳)です。

夫婦はともに公立学校の元教師で、現在は夫婦合わせて月額約37万円の年金で暮らしています。また、定年退職金を含めた現在の貯蓄は約5,000万円、持ち家でローンもありません。

そんな、金銭的になんの不自由のない老後を送る夫婦が後悔している原因は、愛する孫のための「生前贈与」でした。

教師という職業柄、何事も計画的に進めたいオサムさん夫婦。自分たちに万が一のことがあった際、「子どもたちが相続で揉めないように」と、生前対策を検討しはじめました。夫婦には、それぞれ結婚して独立した長男(41歳)と長女(34歳)がいます。そこで夫婦が目をつけたのが、暦年贈与の基礎控除を活用した方法でした。

「1人あたり年間110万円までなら贈与税がかからないと知りました。そこで、長女と長男夫婦にそれぞれ110万円ずつ贈与することにしたんです」

オサムさん夫婦は、長女の家庭に対し、長女本人へ110万円、そして「いつも娘と孫を支えてくれてありがとう」という感謝の気持ちを込め、長女の夫の口座にも110万円、合計220万円を振り込みました。同様に、長男夫婦へも計220万円を贈与。どちらの家族からも「孫のために大切に使う」と喜ばれ、夫婦は大満足だったといいます。

しかし、その幸せな空気は、わずか1週間後に一変することになります。

もう離婚する…実家に泣きついてきた娘

贈与を実行した翌週。突然、娘と孫が実家にやってきました。

聞くと「しばらく実家で暮らす。夫が謝るまで許さない」と涙ながらに語ります。

オサムさん夫婦はひとまず長女を落ち着かせ、何があったのか詳しく話を聞くことに。すると、原因は自分たちが渡した「220万円の使い道」を巡る価値観の違いでした。