昨今は、親への仕送りや経済的支援は珍しいことではありません。しかし、温かい親子関係の裏で、受け取ったお金を予想もしない形で管理しているケースも。父親へ長年仕送りを続けてきた男性の事例を通じ、現代の高齢者が抱く子どもへの想いについてみていきます。
「ありがとう、でも、もういらない」75歳父の最期の言葉。〈仕送り月3万円〉を20年続けた45歳息子、遺品整理で絶句した「資産の中身」 (※写真はイメージです/PIXTA)

遺品整理で発見された「2,000万円近く」の資産

大輔さんが毎月送った3万円は、20年間で総額720万円に達していました。それが長期の積立投資と、昨今の急激な日本株の上昇による複利効果によって大幅に増幅され、評価額は2,000万円になりそうな勢いになっていたのです。

 

「驚きました。最近はインフレで高齢者の暮らしも大変だとニュースで耳にしますし、父も私からの仕送りを生活費に充てているとばかり思っていました。しかし、すべてをずっと投資に回していた――そのまま私に残そうとしていたんじゃないかなと思います」

 

昭さんは、息子からの好意を無下に断れば、息子の気持ちを無駄にしてしまうと考え、仕送りを受け取り続けていたのでしょう。そのうえで、息子の将来のための「貯金箱」として、投資信託を活用していたと推測されます。

 

内閣府『高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(第9回調査)』において、「日々の生活で満足している点」として「経済的な心配がないこと」を挙げた日本の高齢者の割合は、アメリカ、ドイツ、スウェーデンといった欧米の比較対象国と比較して最も低い水準にあります。一方で、日本の高齢者は、経済面ではなく「健康状態」や「趣味・生きがい」などを日々の生活の満足点として挙げる割合が高いといいます。

 

また厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の55.8%が「生活が苦しい」と回答。つまり、4割強の高齢者は「ゆとりがある」と答えています。

 

昭さんも、現役時代の貯蓄や日々の年金受給額の範囲内で、自身の「健康状態」や「趣味・生きがい」を維持しながら、十分に自立した生活を送れていたのでしょう。大輔さんが想像していた以上に、昭さんの日々の生活のやりくりに困窮の文字はなかった可能性があります。

 

「父は、私からの仕送りを1円も使わなかったけれど、何かあっても大丈夫、というような安心材料になっていたのなら嬉しいですね。本当はどう考えていたのか……想像するしかありませんが」