昨今は、親への仕送りや経済的支援は珍しいことではありません。しかし、温かい親子関係の裏で、受け取ったお金を予想もしない形で管理しているケースも。父親へ長年仕送りを続けてきた男性の事例を通じ、現代の高齢者が抱く子どもへの想いについてみていきます。
「ありがとう、でも、もういらない」75歳父の最期の言葉。〈仕送り月3万円〉を20年続けた45歳息子、遺品整理で絶句した「資産の中身」 (※写真はイメージです/PIXTA)

親孝行としてなんとなく続けていた「月3万円」の仕送り

「親ってそういう生き物なのかもしれませんね。もし私が自分の子どもから仕送りをもらっても、同じようなことをするかもしれない」

 

そう静かに語るのは、都内のIT企業に勤務する佐藤大輔さん(45歳・仮名)です。大輔さんは大学を卒業・就職して生活が落ち着いたころから、地方の実家で暮らす父・佐藤昭さん(享年75・仮名)へ、毎月3万円の仕送りを続けてきました。

 

特に昭さんに頼まれたわけではありません。当時、昭さんはまだ現役で働いており、お金に困っている様子などはみられませんでした。

 

「今まで育ててもらったお礼というか、高いお金を払って大学まで行かせてくれたことへの罪滅ぼしというか。社会人になったのだから少しでも親孝行をしたいという気持ちだけで、なんとなく毎月仕送り専用の口座へ3万円を振り込み始めました」

 

当初、昭さんは「お金など、送らなくていい」と言っていましたが、「俺が送りたいだけだから」と半ば強引に送り続けていたそう。そのうち昭さんも「いつもすまないね、本当に助かっているよ」と受け取ってくれるようになったといいます。大輔さんもまた、その言葉を聞くたびに、ささやかながら親孝行ができているという満足感を抱いていました。

 

それから20年の歳月が流れたある日、昭さんから「大輔、今まで本当にありがとう。でも、もう仕送りはいらないよ」と電話が入ります。理由を聞いても「最近は物価も高くなって大変だろう。こっちは大丈夫だから」というばかり。

 

釈然としないなか、さらに驚きの出来事が起こります。昭さんが突然の病に倒れ、急逝したのです。昭さんは遺言書や手紙などの明確なメッセージを残さず旅立ったため、「仕送りはもういい」と告げた真意は、葬儀の後の遺品整理で明らかになります。昭さんの書斎の引き出しから出てきたのは、大輔さんが毎月振り込みを続けていた仕送り専用口座の通帳、そして、証券会社の口座開設通知書でした。

 

「通帳を確認すると、私が振り込んだ3万円は、毎月きれいに別の口座へと全額移し替えられていました。父は、私からの仕送りに一切手を付けていなかったのです」

 

不審に思った大輔さんが証券会社の取引報告書を確認すると、そこには驚くべき数字が記載されていました。仕送りとして送られた毎月3万円の資金は、20年間にわたり、すべて日経平均株価に連動するインデックスファンドの積立投資に回されていたのです。