(※写真はイメージです/PIXTA)
老人ホーム退去でみえた「老後の住まいに求めるもの」
高いお金を払っているのに居心地が悪く、周囲からどこか馬鹿にされているような感覚があったと遠藤さん夫婦。気分が沈む日々が続き、夫婦の会話も減っていったといいます。
「ふたりとも気分が晴れないので、話す気になれないんですよ。夫婦で自室に閉じこもり、そこでも会話がなくて……」
そんな生活が数ヵ月続き、もう我慢する必要はないのではないか、という考えに至ったというふたり。入居から4ヵ月でホームを退去することにしました。
短期退去の特約により、入居一時金の一部は戻ってきましたが、償却費などで戻ってきたのは800万円ほど。それでも、あの地獄のような日々から抜け出せる安堵感のほうが大きかったといいます。
夫婦は一度自宅に戻り、費用ではなく“本当に自分たちに合った施設”を探しています。
株式会社Speeeが行った調査によると、施設入居後の変化として最も多く挙がったのが「穏やかになった・安心感が得られた」で78.9%。一方で、悪化のみが語られたケースは2.4%でした。
遠藤さん夫婦のように、入居後に施設のイメージがネガティブに変化するケースは多くはありません。それでもゼロではなく、厚生労働省の資料によると、老人ホームの入居者は100万人弱にのぼります。割合としては少数でも、入居後にネガティブな印象を抱くケースは一定数存在すると考えられます。
「どれほど費用が高く、パンフレットが華やかであっても、そこが自分にとって心地よいコミュニティであるとは限りません。高級だから安心なのではなく、そこに暮らす人たちの価値観や背景が、自分たちと馴染むかどうか。それこそが、終の棲家を選ぶうえで大切だと痛感しました」
[参考資料]
株式会社Speee/ケアスル 介護『介護施設入居後、約8割が「穏やかさ・安心感」を実感──「孤独」から「つながり」へ。1,565件の電話取材で見えた変化』