NISA制度改正で「債券ファンド」解禁

2026年4月1日、NISA制度が大きく改正されました。つみたて投資枠でこれまで対象外だった「債券ファンド」が、ついに投資対象に加わったのです。

資産形成の段階では「株式100%」で運用する方法が主流ですが、60代以降、資産を取り崩す段階に入ると「株式だけの値動きは不安だ」と感じる人も多いでしょう。

そのため、選択肢が増えることは喜ばしいことです。しかし……

はたして、NISAという「貴重な非課税枠」を使ってまで債券を運用すべきなのでしょうか。

今回は、特に「安定運用」や「資産の取り崩し」を意識している人に向けて、債券投資のメリットと、見落とされがちなデメリットを整理していきます。

「ローリスク・ローリターン」な債券投資の意外な罠

まず、債券という商品の性質をおさらいしましょう。株式が企業の業績によって価格が大きく変動する「ハイリスク・ハイリターン」な商品であるのに対し、債券は「ローリスク・ローリターン」の代表格です。

債券は、国や企業にお金を貸し、その見返りに利息を受け取る仕組みです。基本的には発行体(企業など)が倒産しない限り、満期まで保有すれば投資した元本と利息が約束されており、極めて予測可能性が高い商品といえます。

債券は「物価上昇」に勝てない

一般的に「株と債券は逆の動きをする」といわれます。株が下がったときに債券が値上がりし、株が上がったときに債券が値下がりするため、両方持っていることで資産全体の値動きを安定させる効果があります。

そのため、「ポートフォリオには債券も分散して組み入れるべきだ」という意見も少なくありません。

しかし、債券には「物価上昇(インフレ)に極めて弱い」という、明確なデメリットがあるのです。

物価が上がると、政府は景気を冷やすために金利を上げます。金利が上がれば、新しく発行される債券の利回りは高くなります。しかし、過去に「低い金利で発行された債券」を持ち続けている人はどうなるでしょうか。

たとえば、物価上昇率2%のときに利回り2%の債券を購入し、その後物価上昇率が3%に上がったとします。この場合、保有している債券の利回りは2%のままですから、実質的な価値の下落です。

さらに、その低い利回りの債券を売ろうとしても、より高い利回りの新発債が出回っている状況では、価格を大きく下げ、利回りを高めなければ買い手は現れません。

つまり、物価が上がり金利も上がる局面では、債券を持ち続けても損、売っても元本割れという「打つ手なし」の状態に陥るリスクがあるのです。

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