あんなにワクワクしたのに…3年後「私だけ先に帰らせてもらうね」

最初に洋子さんの口をついて出たのは、「疲れた」という言葉でした。八ヶ岳西麓の標高が高いエリアは、日中こそ快適ですが、朝晩の冷え込みは想像以上でした。洋子さんには、その寒暖差が身体にこたえるように。

田中さん自身も、スーパーへ行くにもコンビニへ行くにも車が必要な生活で、長距離移動や夜間運転を、以前より負担に感じるようになっていきました。

さらに、滞在のたびに、湿気対策や片付け、冷蔵庫整理など細かな作業が発生します。「旅行」と違い、“もうひとつの生活”を維持する感覚に近かったといいます。

一方、東京には、洋子さんが長年かけて築いてきた日常がありました。月1回の美容院。隔週の整体。友人とのランチ。ジム。かかりつけ医。東京へ戻ると、「いつもの生活」に自然と気持ちが落ち着くようになっていったのです。

そして、購入してから3年たった夏。滞在3日目の夜、洋子さんはこう言いました。

「私、先に東京へ帰らせてもらうね」

別荘の購入を反対することもなく、むしろ洋子さんは夫の夢を応援していた側でした。それでも、年齢を重ねるにつれ、思い描いていた二拠点生活は、少しずつ身体への負担へ変わっていったのでしょう。

洋子さんが東京へ戻り、突然ひとりになった別荘で、田中さんは“夢の別荘暮らし”の理想と現実、自分たちの変化について、あらためて考えたといいます。

【注目セミナー】6月5日(金)
武者陵司が解く!
「日本株新時代」の全貌