最新の医学部入試はどう変わった?新課程2年目で進む「思考力・表現力重視」の中身

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最新の医学部入試はどう変わった?新課程2年目で進む「思考力・表現力重視」の中身
(※写真はイメージです/PIXTA)

医学部入試では、共通テストだけでなく各大学の個別試験でも、資料や会話文を読み取り、自分の言葉で考えを説明する問題が増えています。新課程では、情報Ⅰの内容を活用した問題や、日常的な場面を題材にした出題も見られ、従来以上に「知識をどう使うか」が問われるようになっています。本記事では、医系専門予備校「メディカルラボ」が開催した本部教務副統括・尾木歩氏による「医学部現役合格ガイダンス」から、医学部入試の最新傾向について一部抜粋して紹介します。

医学部入試で問われる力はどう変わっているのか

医学部入試では、知識を覚えているだけでなく、それを使って考え、判断し、自分の言葉で説明する力がより重視されるようになっています。共通テストだけでなく、各大学の個別試験でも、会話文や資料、日常的な場面設定をもとに解答する問題が見られるようになりました。

 

こうした変化の背景にあるのが、大学入試で重視されている「学力の3要素」です。知識・技能に加えて、思考力・判断力・表現力、さらに主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度が評価されるようになっています。

「メディカルラボ」提供
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会話文や資料を読み解く問題が増加

たとえば、共通テストでは、太郎君と花子さんの会話文を読みながら必要な情報を整理したり、図表や資料を組み合わせて考えたりする問題が出題されています。

 

この傾向は、医学部の個別試験にも広がっています。千葉大学の生物では、新型コロナウイルスのワクチン接種やPCR検査をめぐる先生と生徒の会話を読み、その内容をもとに設問に答える問題が出題されました。

 

単に知識を問うのではなく、会話文のなかから必要な情報を読み取り、既習事項と結びつけて考える力が求められます。問題文を読む量も増えるため、処理能力や時間配分も重要になります。

日常の場面を題材にした出題も

医学部入試では、日常生活や社会的な場面を題材にした問題も見られます。

 

鳥取大学の物理では、自動車の追突事故をテーマに、ドライブレコーダーに記録されたクラクション音を分析し、車の速度や事故の原因を考える問題が出題されました。

 

通常の問題集では、公式に数値を当てはめて解く問題が中心になりがちです。しかし実際の入試では、複雑な状況設定を読み取り、どの知識を使えばよいのかを自分で判断する必要があります。

定義や原理を説明できるかも問われる

近年は、基本的な定義や原理を改めて説明させる問題も出ています。

 

藤田医科大学の総合型選抜では、円周率の定義や、弧度法における「1ラジアンの定義」を述べる問題が出題されました。円周率やラジアンは普段の計算で当たり前のように使うものですが、いざ「定義を述べよ」と問われると、正確に説明できない受験生も少なくありません。

 

また、久留米大学では、微分係数や導関数の定義式を会話文のなかで理解していく問題が出題されています。公式を暗記して使うだけでなく、その意味や成り立ちまで理解しているかが問われているといえます。

情報Ⅰの知識を活用する問題も登場

新課程で必修となった「情報Ⅰ」の内容を活用する問題も出題されています。

 

浜松医科大学の数学では、情報Ⅰのシミュレーションで学ぶモンテカルロ法に関連する問題が出されました。関西医科大学でも、2進法や個数の考え方に関わる問題が見られます。

 

情報Ⅰそのものが直接問われるというよりも、数学や理科の問題のなかに情報の考え方が組み込まれている点が特徴です。知識として知っていれば解きやすくなりますが、気づけなければ難度が大きく変わる問題もあります。

「解ける」だけでなく「説明できる」力を

兵庫医科大学では、データの分析に関する問題で、表を読み取り、その結果がなぜ起きたのかを説明する問題が出題されました。計算して答えを出すだけでなく、資料をもとに考察し、文章で説明する力が求められています。

 

近年の医学部入試では、こうした「思考力・判断力・表現力」を重視する問題が増えています。知識をそのまま問うだけでなく、資料や会話文を読み取り、自分の考えを整理して説明する力が求められる傾向が強まっています。

医学部合格に向けて必要な対策

こうした出題に対応するためには、まず基本問題や標準問題を確実に解ける力をつけることが前提です。基礎が固まっていなければ、応用的な問題には対応できません。

 

そのうえで、受験学年では志望校の過去問を早めに確認し、どのような形式の問題が出ているのかを把握することが大切です。会話文、資料読解、論述、定義説明、日常的な場面設定など、大学ごとの特徴を知ったうえで対策を進める必要があります。

 

また、普段の学習も丸暗記や詰め込み型の学習ではなく、「理解して定着させる」学習が重要です。近年の医学部入試では、定義や原理を説明させる問題や知識を使って考える問題が増えており、単に覚えるだけでは対応しにくくなっています。

学校推薦型・総合型選抜は「負担が軽い入試」ではない

医学部では、学校推薦型選抜や総合型選抜を実施する大学も多く、現役生にとっては重要な選択肢の一つになっています。2026年度入試では、国公立大学の学校推薦型選抜は45大学、総合型選抜は16大学で実施。私立大学でも、学校推薦型選抜19大学、総合型選抜15大学と、多くの大学が導入されています。

 

ただし、学校推薦型・総合型選抜だからといって、必ずしも負担が軽い入試というわけではありません。

「メディカルラボ」提供
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私立大学では、一般選抜と同様に英語・数学を中心とした学科試験が課されるケースが多く、小論文や面接も必要になります。学科試験は「基礎学力検査」「適性試験」といった名称で行われることもありますが、一般選抜よりやさしい問題を出題する大学もある一方で、決して対策なしで突破できる入試ではありません。

 

また、医学部の学校推薦型・総合型選抜には、細かな出願条件が設定されています。特に大きいのが卒業年度による制限で、「現役生のみ」「一浪まで」「二浪まで」といった条件が設けられています。

 

さらに、国公立大学の学校推薦型選抜では、高校1年から高校3年1学期までの評定平均4.3以上を求める大学も多く、地域枠では出身地域や居住地に関する条件が加わる場合もあります。

 

加えて、医学部の学校推薦型・総合型選抜は専願制が中心です。合格した場合はその大学へ進学することが前提となるため、他大学との併願が難しいケースも少なくありません。大学によっては、「1校あたり推薦できる人数」を制限していることもあり、応募者が多い場合は校内選考が行われることもあります。

 

一方で、こうした入試方式は現役生にとって大きなチャンスにもなります。一般選抜では多浪生や社会人受験生も含めた競争になりますが、学校推薦型・総合型選抜では卒業年度による制限があるため、ライバルが絞られるからです。

 

ただし、学校推薦型・総合型選抜の準備を進めながら、一般選抜の対策も並行して行う必要があります。出願条件や入試方式は大学ごとの差も大きいため、自分の学力や適性に合わせて制度を活用することが重要になりそうです。

 

「メディカルラボ」提供
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まとめ

医学部入試では、知識量だけでなく、知識を使って考える力、資料を読み取る力、自分の言葉で説明する力がますます重視されています。

 

共通テストでも個別試験でも、出題形式は多様化しており、単純な暗記だけでは対応しにくくなっています。だからこそ、早い段階で基礎を固め、志望校ごとの出題傾向に合わせた対策を進めることが重要です。

 

また、学校推薦型・総合型選抜など、医学部特有の多様な入試方式をどう活用するかも、現役合格を目指すうえで重要なポイントになります。出願条件や専願制といった特徴を理解したうえで、自分に合った受験戦略を立てていく必要があります。

 

医学部入試は、単に難しい問題を解けるかどうかだけではありません。学んだ知識をどう使い、どう考え、どう表現するか。その総合力が、これからの医学部入試でより強く問われていくといえるでしょう。

 

尾木 歩

医系専門予備校メディカルラボ 本部教務副統括

 

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