再三の「同居打診」を断ってきた75歳男性

タダシさん(仮名・75歳)は、1年前に最愛の妻を亡くしました。以来、夫婦で暮らしていた東京23区内の戸建てで一人暮らしを続けています。

収入の柱は月16万円の年金ですが、いまのところ心身ともに健康で医療費もかからず、お金のかかる趣味もないため、毎月3~5万円は手元に残ります。老後資金として確保してある1,000万円は手つかずのまま、余った生活費はそのまま預金に回しているため、預金残高はむしろ増え続けていました。

とはいえ、妻を亡くして以降不慣れな家事に四苦八苦しており、一人暮らしの寂しさも感じています。長男のトモキさん(仮名・47歳)は、そんな父を案じて何度も「一緒に暮らそう」と打診しますが、タダシさんは、「自分はまだ元気だから心配いらない」と言って、毎回断っていたそうです。

そんななか、GWに帰省した息子家族と外食をした際、いつものようにトモキさんから同居の話が持ち上がりました。

「何度もあれだけど、一人で大丈夫なの? 俺たちと一緒に住もうよ。だいぶ楽できると思うし、そのほうが父さんも安心でしょ」

「ありがたいけど、年寄りと同居なんて、マスミさん(※トモキさんの妻/仮名・45歳)に申し訳ないだろう。いよいよどうしようもなくなったら施設へ入る。心配はいらん」

いつものように断ると、ここまで静かに聞いていたマスミさんが、ふいに口を開きました。

「……お義父さん、それなら私を雇ってもらえませんか?」

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タダシさんは、意味がわからずしばしフリーズ。トモキさんも状況が飲み込めず、きょとんとしています。

そんな2人に、マスミさんは「突然そんなこと言われても困りますよね」と笑い、自分の提案の真意を話し始めました。