原油高でもS&P500が最高値を更新している事実

現在の市場では、原油価格の動向にも注目が集まっています。

特に、中東情勢の悪化によるホルムズ海峡封鎖懸念は、世界経済への影響が大きいテーマです。世界の原油輸送の約20%がホルムズ海峡を通過しているため、封鎖されれば原油価格は急騰し、ガソリン代や電気代、物流費など幅広いコスト上昇につながります。

実際、戦争前に1バレル60ドル前後だった原油価格は、90~110ドルで推移しています。

本来であれば、原油高は株式市場にとってマイナス要因でしょう。しかし、S&P500は下落後に持ち直し、過去最高値圏まで上昇しています。

これは、市場が原油高に“慣れてきた”という側面もありますが、それ以上に、AI関連産業への期待が強いことを意味していると考えてよいでしょう。

「国」と「企業」が同じ方向を向いている

今回の相場が強い最大の理由は、「国」と「企業」が同じ方向を向いている点にあります。

通常、国の政策と企業の利益追求は必ずしも一致しません。

たとえば、国は中国依存を減らしたいと考えていても、企業はコスト削減のために中国製品を使いたい場合があります。あるいは、移民政策でも、国と企業で利害が対立することが少なくありません。

しかし、AIと半導体については違います。

各国政府は、安全保障や経済成長の観点からAI投資を強化しています。一方、企業側も、業務効率化や利益率向上のためにAI導入を急いでいる……つまり、「国家戦略」と「企業戦略」が一致しているのです。

この「同じ方向を向く状況」が、株式市場の強さにつながっています。

インフレがAI投資を加速させている

さらに現在は、インフレも追い風になっています。

一般的にインフレはネガティブに捉えられがちですが、強い企業にとっては必ずしも悪いことばかりではありません。

価格が上昇しても売れる企業は、売上や利益を伸ばしやすいからです。

特にAI分野では、「人件費削減」のニーズが急速に高まっています。

物価上昇に伴い人件費も上昇するなか、企業はAI導入によってコスト削減を進めている状況です。

実際、米マイクロソフトは大規模な人員削減を進める一方、AI投資を加速させています。メタも同様の方向性を打ち出しています。

つまり、「インフレだからAI関連株が強い」という構図が生まれているのです。