メディアでもたびたび取り上げられてきた「老後2,000万円」問題。とはいえ目標額を達成して老後を迎えても、その貯蓄を完全に使い切ることができる人はほとんどいないと、企業年金制度と投資教育を専門として活動しているFPの山崎俊輔氏はいいます。そこで本稿では、山崎氏による著書『老後に4000万円って本当ですか? 物価が上がる時代の退職後資産の考え方』(日経BP・日本経済新聞出版)より一部抜粋・再編集し、「老後2,000万円」のイメージが時代遅れとなっている理由と、これからの世代が「老後4,000万円」をイメージしておくべき理由について解説します。
預金残高ゼロが怖くて「15万円の旅行」すら楽しめない…〈老後2,000万円〉のイメージが“時代遅れ”なワケ【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

「15万円の旅行」すら恐怖に…「老後2,000万円」のイメージが時代遅れなワケ

「老後2000万円」ぴったりで、いざ老後を迎えると、おそらく半分の1000万円くらいしか使えないことでしょう。そしてその1000万円を使うこともかなりのストレスになると思われます。

 

年金収入は一生涯保障されているわけですから、その範囲内で日常生活費をやりくりしてもいいのですが、私たちは「教養・娯楽費と交際費」も家計のうちと考え、すべてを年金収入でやりくりしようとしてしまいます。

 

少しずつ取り崩している人も、「このペースで取り崩していて大丈夫なのだろうか」という恐怖を薄々と感じてしまいます。これではすっきりと老後の余暇を楽しむことはできません。

 

旅行にでかけるとしても「この15万円の予算捻出は老後の生活に問題ない計画的なもの」と捉えるか「この15万円を出して20年後も私たちは大丈夫なのだろうか」と考えるのかは、同じ出費から得られる幸福度を違うものとしてしまいます。

 

だとしたら「残すお金」もカウントした形で「老後2000万円」を考えなおす必要があります。

 

「実際に使う分としての老後2000万円」+「実際に使う予定がない老後1000万円」のように考えてみるのです。

 

しばしば「老後2000万円」を貯めれば老後は安心であるかのような説明がありますが、実際の目標はもう少し上なのかもしれません。そのうえで、それぞれが物価上昇を見込んで金額目標の上方修正をするとしたら……こちらも「老後4000万円」ということになってきます。

 

いくつかの視点を示してきましたが、いずれの場合においても「老後2000万円」のイメージのまま備えておくことが時代遅れとなっていることは間違いありません。

 

物価上昇に備えていくため、きちんと2000万円を使い切るため、老後の安心も残しておくため、私たちは「老後4000万円」をイメージしておくステージに移行し始めているのです。

 

 

山崎 俊輔

フィナンシャル・ウィズダム代表

ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー