物価高騰とサービス価格の上昇により、家族の娯楽が家計を圧迫しています。かつての団らんの場は、いまや高齢者の資産を加速的に減らすイベントに変わりつつあります。息子家族との交流のなかで生じる過酷な出費の実態を通じ、現代のシニア世帯が直面する経済的リスクと家族の在り方をみていきます。
「もう二度と行きたくない…」年金18万円の72歳祖父、GWのテーマパークで“1日18万円”を喪失した「悪夢のような休日」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「孫の笑顔が怖かった」GWの悲劇

関西に住む吉田浩一さん(72歳・仮名)は、昨年のゴールデンウィーク(GW)に経験した出来事を、今も苦い思いで振り返ります。吉田さんは現在、妻・恵子さん(69歳・仮名)と二人暮らしです。現役時代は地元の建設会社に勤務し、現在は月額約18万円の厚生年金を受給して生活しています。

 

「日々の暮らしに困ることはありませんが、余裕があるわけでもありません。今後の生活を考えると、貯金はできるだけ手を付けずにおきたい」

 

そんな吉田さんが思い出すのは、昨年のGW。関東で暮らす長男(41歳・仮名)一家(小学生1人、幼稚園生2人、計5人家族)が帰省したときのことです。さらに遡ること、同年3月。長男から「今年のGW、有給も取れそうだから、みんなで帰省しようかと考えている」と電話がありました。

 

吉田さんが孫たちに「どこか行きたいところはある?」と尋ねたところ、即座にあがったのが人気テーマパークの名前。長男の妻(38歳)から「休日はチケット代も高いし、混んでいるから」と諭す声が聞こえてきたものの、電話の向こうでは「行きたい!」という大合唱が繰り広げられました。そこで吉田さんは「たまのことだから心配しないで。任せておけ」と請け負ったのです。

 

「調べてみると、確かに休日は混んでいて、人気のアトラクションは3~4時間待ちが当たり前。安請け合いを後悔しましたが、待ち時間を大幅に短縮できる優先パスがあることを知りました」

 

「任せておけ」と言った手前、とにかく孫たちには格好いい姿を見せたい。喜ぶ顔が見たい――その一心だったと語ります。

 

そして迎えた当日。人気アトラクションの前には長蛇の列ができ、乗車まで3時間待ちという表示が並ぶなか、吉田さんたちは「さあ、我々はこっちだ」と優先レーンを進み、アトラクションを満喫しました。休日のテーマパークでは覚悟しなければならない順番待ちのストレスは一切なし。まさにストレスフリーな時間を過ごせたといいます。

 

「孫の笑顔が見られて、本当によかった。ただ、代償も大きかった。大人4人、子ども3人の優先パスを含むチケット代だけで15万円。昼食代やお土産代も入れると、私の1ヶ月分の年金(18万円)を超えてしまいました。さらに滞在中の出費は基本的に私たちが持ち、帰る日には孫たちにお小遣いも渡して……。結局、2ヵ月分の年金が飛びました」

 

「すべては孫にいい顔をしたかった私の責任ですが……もう二度と、あのテーマパークには行きません」と苦笑いする吉田さん。今年のGWはカレンダーの並びが悪いばかりか、長男の有給も取れなかったため帰省はなし。吉田さんは今、心の底からホッとしているそうです。

 

 

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