(※写真はイメージです/PIXTA)

インバウンド需要の急速な回復に伴い、訪日外国人客数は過去最高を記録し、今後高い収益性が期待できる「民泊投資」。実は利回りの高さだけでなく、減価償却を活用した「節税効果」も期待できることをご存じでしょうか。本記事では、個人・法人別の具体的なケーススタディを交えた節税効果や、活用可能な補助金制度について詳しく解説します。本連載は、タスワンカンパニーWebサイトからの転載記事です。

民泊投資における収益性と節税の仕組み

現在、民泊はインバウンド需要の急速な回復により、成長市場として期待されています。

 

通常の賃貸物件と比較して民泊は日貸しであるため単価を高く設定でき、稼働率次第ではより高い利回りを実現可能です。このように、民泊は高い収益性を狙える「攻め」の投資の側面があります。

 

その一方で、一定の要件を満たせば「守り」である節税効果も期待できます。個人で民泊事業を行った場合、税務上の所得分類は「事業所得」か「雑所得」のいずれかになります。事業所得として認められた場合は、減価償却費や各種経費を計上することで税務上の赤字を作り、給与所得等と相殺する「損益通算」が可能です。

 

その結果、課税所得が圧縮されて所得税・住民税の軽減につながるため、特に高所得の給与所得者にとっては有効な手段となり得ます。ただし、運営実態によっては雑所得と判断されるケースもあるため、個人の節税効果はあくまで副次的なメリットとして捉えておくのがよいでしょう。
 

民泊の所得税の所得区分

民泊事業は、単なる部屋の貸付けではなく、寝具等の貸付けやクリーニング、室内清掃や観光案内といったサービス提供も含まれています。そのため「不動産所得」ではなく、「事業所得」または「雑所得」として扱われる傾向があります。

 

また、民泊経営のなかには、自分の所有不動産を民泊にするケ-スや民泊の事業譲渡(内装のリフォ-ム代、民泊経営のノウハウや集客等の営業権)を譲渡するケ-ス等、さまざまな方法があります。

 

事業所得に該当するケース

・民泊経営を事業として、継続的かつ計画的に行っている

・事業規模が大きい(複数の所有物件で民泊を展開している等)

・民泊の事業譲渡(営業権や備品の譲渡)による所得等

 

雑所得に該当するケース

・貸出しが単発や一時的なものや規模が小さいもの

・自宅の空き部屋を利用している程度の規模である

 

大阪で始める 物件を買わない民泊運営モデルはコチラ

 

個人における節税効果のケーススタディ

個人の民泊が「事業所得」として認められた場合、実際にどのくらいの節税効果があるのか、2つの年収パターンで検討してみましょう。

 

ケーススタディの前提条件(建物を含まない営業権の譲渡)

・運営開始時期:12月

・初期費用(初年度の必要経費):500万円
(内訳)
 └初期家具設備等のリフォーム費用:350万円
 └物件調査費用、市場調査費用、役所手続費用、民泊運営開始サポート費用等:150万円 
※リフォ-ム費用+10万円未満の家電等+30万円未満の少額減価償却資産の取得費等を含め、すべて必要経費として計上できたと仮定

・初年度の民泊収入:10万円
※12月開始のため1ヵ月分として計算(次年度以降は年間約120~180万円の収入を見込む)

 

上記の条件で、初年度の民泊収入(10万円)から必要経費(500万円)を差し引いた490万円のマイナスを給与所得と損益通算した場合、初年度は以下のようになります。

 

年収1,800万円の給与所得者の場合(課税所得900万円超)

・想定税率(所得税・住民税):43%

・実質的な節税額:490万円×43%=年間約210万円

 

年収800万円の給与所得者の場合(課税所得330万円以上695万円未満)

・想定税率(所得税・住民税):30%(損益通算後ゼロ)

・実質的な節税額:民泊所得のマイナス490万円と給与所得450万円を相殺すると、課税所得はゼロとなるため、想定節税額は年間約50万円

 

このように、日本の税制上、節税効果は本業の所得が高い人ほど大きくなります。なお、経費に計上する「減価償却費」は実際の現金の支出を伴わない費用であるため、資金面(キャッシュフロー)において2年目以降はその分がプラスに働きます。

 

個人でも活用可能な補助金制度

個人の民泊経営であっても、国の補助金制度を活用できる場合があります。初期費用を抑えるために、「住宅省エネ2026キャンペーン」や「小規模事業者持続化補助金」のような制度を検討するとよいでしょう。

 

法人における節税効果のケーススタディ

次は、法人が民泊経営を行った場合、どれくらいの節税効果が見込めるのかを解説します。

 

ケーススタディの前提条件(建物を含まない営業権の譲渡)

・運営開始時期:12月

・初期費用: 500万円
(内訳)
 └リフォーム・諸経費(家具家電購入、内装工事費等):350万円
 └物件調査費用、市場調査費用、役所手続費用、民泊運営開始サポート費用等:150万円 
※リフォ-ム費用+10万円未満の家電等+30万円未満の少額減価償却資産の取得費等を含め、すべて必要経費として計上できたと仮定

・初年度の民泊収入:10万円
※12月開始のため1ヵ月分として計算(次年度以降は年間約120~180万円の収入を見込む)
 

 

上記の条件で、初年度の民泊収入(10万円)から必要経費(500万円)を差し引いた490万円の赤字を利益と相殺した場合、初年度は以下のようになります。

 

・想定税率(法人税・住民税率等):約30%

・計算式: 490万円(赤字)×約30%=約150万円

・実質的な節税額:年間約150万円の法人税等の圧縮

 

このように法人においても、初年度についてはリフォ-ム代等を活用した税務上の圧縮効果が期待できます。さらに、法人で民泊事業を行う場合、個人の民泊事業者よりも手厚い補助金や助成金が適用されやすい点がメリットといえるでしょう。

 

ただし、個人・法人においても2年目以降は、1年目のように大きくリフォ-ム代を計上できず、また民泊収入も年間を通じて計上されることから、民泊事業においても所得が見込めることとなります。
 

法人が活用可能な補助金・助成金制度

法人の場合、新たな事業展開として「事業再構築補助金」や「事業承継・引継ぎ補助金」のような補助金・助成金を活用できる可能性があります。

 

民泊経営の成功のカギは「黒字化」と「安定運営に向けた体制づくり」

民泊経営によって節税効果は期待できるものの、あくまでビジネスとして捉え、「運営自体が安定して収益を出していること(黒字化)」を目標にすることがよいでしょう。

 

しかし、民泊経営には注意点も多く存在します。安易な気持ちで始めて失敗するケースも少なくありません。民泊に対する条例等の営業規制や、立地エリア選びの難易度、運営上のトラブル等、配慮すべきハードルは年々増えています。さらに、本業を持つ高額所得者や経営者が、自ら民泊の清掃やゲスト対応をこなすのは現実的ではないと思われます。

 

円滑な民泊経営を実現しリスクを回避するには、「物件の見極めから日々の運営まで、手離れよく任せられる信頼できるプロ」をパートナーに選ぶことが成功のカギとなるでしょう。

 

一方で、所得区分の判定や損益通算の可否、減価償却の取り扱い等、税務面については個別事情によって判断が分かれるケースも多いため、事前に税理士等の専門家へ相談したうえで進めることが望ましいでしょう。

 

民泊投資を検討する際は、「収益性」「運営体制」「税務戦略」の3つをバランスよく設計することが、長期的な成功につながる重要なポイントといえます。

 

大阪で始める 物件を買わない民泊運営モデルはコチラ