住宅ローン審査をする際、金融機関はなにを重視しているのでしょうか? 国土交通省が公表した「民間住宅ローンの実態に関する調査(令和6年度実績)」によれば、金融機関が融資審査で考慮する項目のうち、「完済時年齢(98.9%)」や「年収(95.4%)」と並び、多くの金融機関が最重要項目の一つとして挙げている項目があって……。住宅ローン審査に落ちたハジメさんの事例をみていきましょう。
銀行員「残念ながら、融資を見送らせていただきます」…年収1,900万円の44歳部長が住宅ローン審査、否決。銀行から告げられた〈思いがけない理由〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

9,000万円のマイホームを購入しようとしたが…

「年収がこれだけあれば、普通に考えれば通るだろう」

 

都内の外資系企業で部長を務めるハジメさん(仮名/44歳)は、そう思っていました。40代半ばにして年収1,900万円。32歳で結婚し、現在は小学6年生の長女と小学4年生の長男を持つ4人家族です。

 

結婚から12年、ずっと賃貸マンション暮らしでしたが、子どもたちの成長に伴いマイホーム購入を決意。妻と休日のたびに家探しを行い、都心の9,000万円の中古マンションをみつけました。頭金として1,000万円用意し、住宅ローンの審査へと臨みます。

 

しかし、数日後に銀行の担当者からかかってきた電話は、思いがけない宣告だったのです。

 

「誠に残念ながら……今回はご融資を見送らせていただくことになりました」

 

審査に落ちた理由

ハジメさんは自分の属性には自信がありました。勤続年数、年収、返済比率、どれをとっても優良顧客の条件を満たしています。それなのになぜ、否決されたのか。

 

理由を尋ねると、「実は、当行の融資承認自体は下りているのですが、付帯する保険の引き受けができませんでした。 そのため、このままでは融資が実行できない状況です」と切り出されます。

 

――つまり、ハジメさんが融資を受けられなかった原因は、団体信用生命保険(団信)加入必須の住宅ローン審査で、団信の審査に落ちたことです。ハジメさんは、審査のプロセスで「団体信用生命保険(団信)」の告知書類の提出を求められていました。

 

「実は2年ほど前から、激務による不眠と気分の落ち込みが続き、心療内科に通っていたんです。診断名はうつ病。といっても、薬を飲みながら仕事はこなせていますし、一度も休職したことはありません。だから、仕事の能力が認められている以上、ローンに響くなんて考えもしなかったんです」

 

しかし、団信の審査を行う生命保険会社にとって、精神疾患による投薬治療の事実は、重大な「引き受けリスク」とみなされます。たとえ高年収であっても、保険会社が「ノー」といえば、団信加入を融資の必須条件としている多くの民間銀行は、否決せざるを得ないのです。