弁護士の助言

LIFULL HOME'Sマーケットレポート (2026年1~3月版)によると、2026年3月の賃貸物件の掲載賃料は、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)シングルタイプで9万9,690円(前年同月比+21.3%)と、2020年の集計開始以降の最高値を更新しました。

近年、本事例のような家賃増額をめぐるトラブルが相次いでいます。とりわけ駅近や都心部では、更新時やオーナー変更のタイミングで賃料見直しが行われるケースが増えているようです。

もっとも、賃貸借契約における家賃の増額は、貸主が一方的に決められるものではありません。借主との合意が原則です。

また、仮に合意に至らなかったとしても、ただちに退去を求められるわけではなく、最終的には裁判所が相当賃料を判断します。よって、通知が届いたからといってすぐに応じる必要はありません。

一方、近時は不動産価格や賃料水準の上昇を背景に、一定の増額が認められる場面が増えているのも事実です。

したがって、「感情的に拒否する」か「言われるまま応じる」かの二択ではなく、周辺相場や物件状況を踏まえ、妥当な水準を見極めたうえで「交渉する」ことが重要です。

具体的には、近隣の類似物件の賃料を確認し、「いくらであれば相当か」という客観的な根拠を持ったうえで、書面やメールで冷静に意思表示を行うことをおすすめします。また、いきなり提示された金額をただ受け入れるのではなく、「段階的な増額」や「一定期間の据置き」といった条件の交渉も現実的な選択肢でしょう。

特に高齢の入居者にとっては生活基盤に直結する問題であるからこそ、早い段階で専門家に相談し、現実的な落としどころを探ることが重要です。

山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士

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