住宅価格の高騰と共働き世帯の増加を背景に、ペアローンでマイホームを購入する家庭が増えています。夫婦の収入を合算すれば借入可能額は増え、選択肢も広がります。合理的に見えるその選択ですが、離婚や収入減少などの変化が起こった際に、思いもよらぬ“足かせ”になることもあります。本記事では、ある共働き夫婦のケースをもとに、ペアローンのメリットの裏側にあるリスクと備え方について、CFPの伊藤寛子氏が詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
地獄の同居です…子どものため6,000万円の新築戸建てを買った40代夫婦、5年後「もう限界、別れましょう」→まさかの〈離婚成立後も一緒に暮らす〉切実な理由【CFPが解説】
「もう限界、別れましょう」――夢のマイホームが離婚の足枷になるとき
購入から5年。共働きゆえの家事負担の偏りや、子育ての価値観、お金の使い方など、日常の小さなすれ違いが積み重なり、やがて修復ができないほどのあつれきが相葉さん夫婦の間に生じていました。
「もう限界、別れましょう」
美咲さんの言葉に、陽一さんも否定はしませんでした。厚生労働省「人口動態統計(確定数)の概況」によれば、2024年の離婚件数は約18.6万件。離婚自体は珍しい話ではありません。
しかし、二人には大きな問題がありました。――ペアローンが残る自宅です。
自宅は夫婦共有名義、ローンはそれぞれが主債務者。どちらか一方だけが簡単に抜けられる仕組みではありません。家を売ることに決め、不動産会社に査定を依頼したものの、「現状の売却価格は5,500万円前後ですね」と現実は厳しいものでした。
一方で、住宅ローンの残債は約6,000万円。売却すれば赤字になる「オーバーローン」の状態です。さらに、仲介手数料などの諸費用を含めると、持ち出しはそれ以上になります。
「…そんなお金、すぐには用意できない」
二人に大きな壁が立ちはだかった瞬間でした。