大学進学が当たり前となった今、奨学金は決して特別なものではありません。実際、進学者の約半数が制度を利用していますが、卒業後に返済が滞るケースも増えています。もしも、その負担が親に回ってくることになったら――? 本記事では、CFPの松田聡子氏の助言をもとに、就職につまずいた子どもから奨学金返済の援助を求められた50代夫婦の事例を取り上げ、返済が困難になった際に取るべき対応や考え方を解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「僕は、もう奨学金を返せない」…23歳息子からの電話に54歳父、唖然。年収650万円・老後資金づくりのラストスパートに立ち塞がった「借金返済という壁」【CFPの助言】
奨学金の利用は特別ではないが…
赤塚家のケースは、決して珍しいことではありません。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「令和6年度学生生活調査結果」によると、現在、大学生(昼間部)の51.1%、つまり2人に1人が何らかの奨学金を利用しており、そのうち93.2%がJASSOの奨学金の利用者です。
奨学金は、いまや大学進学の標準的な資金調達手段だといえます。しかし、その実態を十分に理解しないまま利用しているケースは多いと考えられます。
JASSO奨学金利用者の平均借入総額は323万円にのぼります。数百万円という単位のお金を、学生本人も親も「奨学金だから」と、住宅ローンや教育ローンとは別物のように捉えてしまいがちです。
しかし、返還が必要な貸与型奨学金は、れっきとした“借金”です。
さらに、有利子の第二種奨学金の利率固定方式は、2025年3月の貸与終了者で年1.641%まで上昇しており、ここ数年は上昇傾向が続いています。「金利のない世界」から「金利のある世界」への変化の中で、社会人となって返済する負担は確実に高まっているのです。
問題は金額だけではありません。20代前半のアルバイトの手取りは月15〜18万円程度です。そこから家賃・食費・光熱費を払えば、月15,000円前後の奨学金返済は決して小さな負担ではありません。佳彦さんのように就職直後に退職してアルバイト生活になるケースは、返済が最も苦しくなる典型例です。
