令和5年度の司法統計によると、家庭裁判所に申し立てられた相続に関する争い件数は13,872件でした。毎日のようにどこかで起きている相続トラブル、またその原因や内容はさまざまであり、「自分には関係ない」「自分は大丈夫」などということは決してありません。では、具体的にどのような相続トラブルが起きているのか、またその状況ではどのように立ち回ればいいのか、とあるきょうだいの事例をもとに弁護士が解説します。
※画像はイメージです/PIXTA
この遺言書、絶対におかしい…年収400万円の55歳長女、愛する父の遺言「遺産はすべて長男へ」に抱いた″強烈な違和感”【弁護士の助言】
遺言書は無効。しかし…
本件の遺言書は公証役場で作成された公正証書遺言ではなく、単にパソコンで作成されたものである場合、自筆証書遺言の要件を満たさず、法的には明確に無効です。
したがって、父の意思であったか、長男による作成かといった点にかかわらず、遺言としての効力は認められません。
「無効=解決」ではない
しかし実務上は、明らかに無効な遺言書であっても、相手方がそれを前提に遺産分割に応じない場合、遺言無効確認訴訟を提起し、判決で無効を確定させる必要が生じることがあります。
筆者の経験でも、後見人が就任しており認知症の状態で作成された、明らかに要件を欠く遺言書について、相手方がまったく譲らず、実際に訴訟を提起して勝訴判決を取得したケースがありました。
また別件では、全体がワープロによる穴埋め形式の遺言書を見たこともありますが、これも「自筆」ではないため明らかに無効です。現在、ワープロで作成が認められているのは財産目録など一部の添付資料に限られます。
本件においては遺言の有効性以前に、当事者間の信頼関係が崩れている点が大きな問題です。このような状況では遺産分割は難航しやすく、長期化も想定されます。法的に無効であることを前提にしつつ、粘り強く対応していく必要がある事案といえるでしょう。
山村暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
【注目のセミナー情報】
【減価償却】4月22日(水)オンライン開催
《ヒロ☆税理士が解説》
「今期の利益を守る」決算対策セミナー
【国内不動産】4月25日(土)オンライン開催
《一都三県×高利回り》
「新築一棟木造アパート投資」の全貌