土地の分筆とは
(画像:PIXTA)
土地の分筆(ぶんぴつ)とは、地番のある1つの土地を用途や権利関係に応じて複数の土地に分けて登記する手続きです。
土地は区画ごとに「1筆(いっぴつ)、2筆(にひつ)」と数えるため、「筆を分ける」ことから「分筆」と呼ばれています。例えば、土地の一部だけを売却したい場合や、相続した土地を分けたい場合などに、分筆の手続きが行われます。
分筆を行うことで、それぞれの土地が独立した不動産として登記され、個別に売却や担保設定が可能になります。

逆に、隣接する複数の土地を1つの土地にまとめることを合筆(ごうひつ・がっぴつ)といいます。合筆は、複数の土地を一体として利用したい場合や、管理を簡素化したい場合に行われる手続きです。
土地の分筆が発生するケース
土地の分筆は、さまざまな目的で行われます。ここでは、実際に分筆が必要となる代表的なケースを紹介します。
土地の一部を売却するとき
土地の一部だけを第三者に売却する場合、売却する部分を独立した土地として分筆する必要があります。分筆をせずに一部だけを売却することはできないため、売買契約を結ぶ前に分筆登記を完了させておくことが一般的です。売却する範囲を明確にし、測量によって境界を確定したうえで、分筆の手続きを進めます。
売却後は、買主が分筆された土地の所有権を取得し、残りの土地は売主が引き続き所有することになります。このように、土地の一部売却は分筆によって初めて可能となります。
土地の一部を利用するとき
現状所有している土地の一部を、用途を分けて活用したい場合にも分筆が行われます。例えば、駐車場として貸し出している土地の一部に建物を建築する場合、それぞれの土地を明確に区分するために分筆を行う場合があります。
分筆することで、用途ごとに管理しやすくなるメリットがあり、将来的に一方だけを売却したり、賃貸借契約を結んだりすることも可能になります。また、賃貸用地として貸し出す際も、分筆によって範囲を明確にすることで、借主との契約関係がスムーズになります。
もともと農地として利用している土地は農地転用をしなければ耕作以外の用途で利用することはできないため、注意が必要です。地目の変更や届出・許可が必要になるため、事前に確認しておきましょう。
地目変更や農地を宅地に転用する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】地目変更とは?登記の手続き方法・必要書類・費用をわかりやすく解説
土地を複数人の相続人で相続するとき
土地を相続人ごとに単独所有にするため、分筆して相続するケースがあります。
相続時に他の相続人と財産の評価額が同じになるよう、土地を分筆して現物分割するという方法があります。これによって、株式や預貯金など他の財産とともに平等に分けることができます。
また、不動産を相続したあと、その不動産が共有名義のままだと、将来売却した際に所有者である全員の同意が必要となります。しかし、分筆することで、それぞれの相続人が自由に土地を処分できるようになるため、将来的なトラブルを避けることができます。
ただし、分筆する際には、各土地の評価が公平になるよう、接道状況や形状に配慮する必要があります。相続税の計算にも影響するため、税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
共有名義の土地を単独所有に分けるとき
共有名義の土地の場合、土地の売却や担保設定には共有者全員の同意が必要となります。共有者1人でも意見が一致しない場合にはそれらの手続きが進められません。そのため、共有名義の土地を分筆することによって単独所有となり、それぞれが自由に土地を活用できるようになります。
共有名義の土地を整理し、それぞれが単独で所有・処分できるようにする目的で分筆することで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
ただし、分筆する場合にも共有者全員の同意が必要となるため、事前に十分な話し合いを行い、各土地の評価が公平になるよう配慮することが重要です。
土地の一部に抵当権を設定するとき
土地の一部のみを担保にする場合、対象部分を分筆して抵当権を設定します。例えば、土地全体ではなく一部だけを担保に融資を受けたい場合、事前に分筆を行い、担保に入れる部分を明確にします。こうすることで、残りの土地は自由に活用することが可能となります。
また、将来的に担保に入れていない土地を売却したい場合にも、事前に分筆しておくことでスムーズな取引が可能になります。
土地の分筆をするデメリット
分筆には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。分筆を検討する際には、これらのデメリットも十分に理解しておくことが大切です。
土地の税金が高くなることがある
分筆後の土地評価や利用状況によっては、固定資産税などが増える場合があります。例えば、小規模住宅用地の特例を受けている住宅の土地の一部を分筆する場合には、軽減措置を受けられなくなることで、土地の税金が大幅に上がってしまうケースもあります。
土地の条件に差が生じてしまう
分筆した結果、接道状況や形状によって、分筆後の土地ごとに価値や使い勝手に差が出ることがあります。具体的には、道路に接している土地とそうでない土地で、建築の可否や資産価値に大きな違いが生じるような場合です。
建築基準法では、原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければ建物を建てることができません。分筆によって接道義務を満たさない土地が生じると、その土地の価値は大幅に下がります。
また、住宅が建っている土地を分筆する場合には、建築当初よりも土地面積が狭くなるため、建ぺい率や容積率などの制限を満たさず、現状建っている建物と同規模のものが再建築できなくなったり、増築などのリフォームができなくなったりすることもあります。こうした場合には将来的に売却しようとしても、金融機関からの融資が受けられず、売却活動が長期化するケースもあるため注意が必要です。
分筆する際には、それぞれの土地が公平になるよう、慎重に境界を設定することが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、最適な分筆計画を立てましょう。
建ぺい率や容積率についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】建ぺい率・容積率とは?違い・計算方法・調べ方をわかりやすく解説
分筆ができない土地とは
(画像:PIXTA)実はすべての土地が分筆できるわけではなく、法律や条例によって、分筆が制限されているケースがあります。以下のような条件に該当する場合、分筆が認められないことがあります。
土地の境界を確定できないとき
分筆したい土地と隣地との境界が不明確な場合、境界の確定ができるまで分筆は行えません。境界確定には測量図面付きの境界確認書に隣地所有者全員の署名や押印が必要になるため、隣地所有者のうち1人でも同意が得られない場合や連絡が取れない場合、境界について争いがある場合には、境界確定訴訟などの法的手続きが必要になることもあります。
そのため分筆を検討する際には、まず境界が明確になっているかを確認しましょう。古い土地では境界標が失われていることも多く、測量によって改めて境界を確定する必要があります。
境界確定には時間がかかることもあるため、余裕を持ったスケジュールで計画することが重要です。
土地の最低面積が制限されているとき
自治体の条例などにより、分筆後の土地が最低敷地面積を下回る場合は分筆できません。こうした規制は、狭小地の乱立を防ぎ、良好な住環境を維持するために設けられています。最低敷地面積は自治体によって異なり、住宅地では100平方メートルや200平方メートルなどと定められていることがあります。
したがって分筆を計画する前に、該当する土地のある市区町村の都市計画課などに確認する必要があります。最低敷地面積の規制に抵触する場合、分筆登記が受理されないため、事前の確認が不可欠です。
また、建ぺい率や容積率などの建築制限も分筆後の土地利用に影響するため、こうした規制も総合的に検討しましょう。
土地の分筆をする際の費用相場
土地の分筆にかかる費用は、どのような手続きが必要かによってケースバイケースで異なります。特に境界確定が必要となる場合には、土地家屋調査士への報酬が高額になります。
以下の表は、分筆にかかる主な費用の目安を示したものです。
分筆にかかる費用は、原則として分筆を希望する土地所有者が支払います。複数人で土地を共有している場合には、共有者間で費用負担の割合を事前に決めておくことが重要です。
土地の分筆費用を安く済ませるコツ
分筆費用を抑える方法として、登記申請を自力で行うことが考えられます。土地家屋調査士に測量や図面作成を依頼したうえで、登記申請だけを自分で行えば、その分の報酬を節約できます。
しかし、書類に不備があると補正通知による再提出や再測量が必要となるため、手続きが長期化するリスクや相当な労力が必要です。また、専門知識がないまま進めると、誤った境界設定や登記ミスにつながる可能性もあります。
土地の分筆を安さだけで選ぶのはリスクも伴います。信頼できる専門家に依頼することで、正確かつスムーズな手続きが期待できます。費用を抑えたい場合でも、少なくとも測量と境界確定は土地家屋調査士に依頼し、正確な図面を作成してもらうことをおすすめします。
土地の分筆をする流れと期間
土地の分筆は、複数の段階を経て行われます。全体の期間は1〜3カ月程度ですが、境界確認に時間がかかる場合や、隣地所有者との調整が必要な場合は、さらに長期化することがあります。
以下の表は、分筆手続きの基本的な流れを示したものです。

特に、隣地所有者が遠方に住んでいる場合や、複数の隣地と境界を接している場合には時間がかかる傾向にあるため、スケジュールに余裕をもって計画することが重要です。

