不動産相続は揉める

不動産は分割が難しいため、相続トラブルに発展するケースが散見されます。特に二世帯住宅の場合、子世帯が実際に居住していることもあり、特に揉めやすいです。

今回紹介したケースについて、たとえば不動産の相続評価額が2,500万円だった場合、遺産総額は4,000万円(不動産2,500万円+預金1,500万円)となります。そこで、ミワさんが言うとおり遺産を折半するとなると、それぞれの相続分は2,000万円です。

そのため長男のコウジさんが不動産を相続し、長女のミワさんが預金を相続する場合、コウジさんは差額の500万円を「代償金」としてミワさんに支払わなければなりません。

遺産のなかで不動産の割合が大きい場合に「相続対策が必要」といわれるのは、こうしたトラブルが起こりやすいためです。

トラブル防止に役立つ遺言書が普及しないワケ

こうした相続トラブルを避けるために有効な手段のひとつが、「遺言書の作成」です。

日本公証人連合会「遺言公正証書の作成件数について」によると、2025年に全国で作成された公正証書遺言書は12万3,891件でした。ちなみに前年(2024年)は12万8,378件、2年前(2023年)は11万8,981件と、遺言書の活用はさほど伸びていないのが現状です。

作成が伸び悩む背景には、「遺言書を書くほどの財産はない」「うちは家族仲がいいから問題は起こらない」といった考えがあります。

しかし、たとえ法定相続人同士の仲が良くても、その配偶者が介入するなどしてトラブルに発展する場合も少なくありません。

すべてを完璧に準備して旅立つことは難しいものの、トラブルの芽を摘んでおくという意味でも、できる限り事前対策を講じておくことをおすすめします。

山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表