「年金が少なくて生活はギリギリ」。そんな切実な声を聞くことは少なくありません。しかし、受け取れるはずの年金を見逃し、知らないうちに数百万円単位を失っている。そんなケースがあるのをご存じでしょうか。「知らなければ一生もらえないまま」――年金で損をしないためには、知識を持つことが重要です。今回は、年下妻の老齢年金の請求を機に「加給年金の請求もれ」に気づいた70代男性の事例から、制度を知る方法などについてCFPの松田聡子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「ねんきん定期便」にも載ってない?嘘だろ…気づかぬうちに「約200万円」をもらい損ねていた75歳夫、年金事務所の窓口でしばし絶句【CFPが「年金の落とし穴」を解説】
損失を最小限にするために今すぐできること
加給年金を受給できる人がもれなく受給するには、まずは加給年金そのものを知る必要があります。制度を知るには年金の裁定請求をする前に、一度は年金事務所や金融機関の相談会にコンタクトを取ることをおすすめします。
公的年金制度は複雑でわかりにくいので、請求前に疑問点や自分の記録にもれがないかを確認しておくと安心です。家族状況を伝えると加給年金についても教えてもらえるでしょう。さらに、請求書の書き方も説明してもらえます。
もし請求もれに気づいたら、1日でも早く動いて損失を最小限に抑えましょう。年金事務所に「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」を提出し、戸籍謄本・住民票(家族全員分)・配偶者の所得証明書などを揃えましょう。マイナンバーが紐付いていれば住民票と所得証明書は省略できる場合もあります。
なお、今回の伸枝さんのように配偶者が65歳を迎えて加給年金が終了した後は、振替加算の対象になる可能性があります。振替加算は配偶者自身の老齢基礎年金に上乗せされるもので、昭和41年4月1日以前生まれで厚生年金の加入期間が20年未満の人が対象です。こちらも申請が必要なため、合わせて年金事務所での確認をおすすめします。
ねんきん定期便の金額は、受給できる金額すべてとはかぎりません。加給年金のように定期便に載らない給付が存在する以上、「もれなく請求できている」という思い込みは危険です。
達夫さんが失った約200万円は、事前に確認していれば防げたと考えられます。年金制度についてよくわからないことがある人は、一度年金事務所に相談してみましょう。
松田聡子
CFP®