中学受験の主役は、言わずもがな試験を受ける子ども自身です。ただ、子どもが試験に臨むためには、親の協力が必要不可欠でしょう。そして見事志望校に合格……しかし、親にとっての“本番”は、合格後に控えているのです。ひとり息子が難関私立中学に合格して浮足立つ40代夫婦の事例をもとに、中学受験の理想と現実をみていきましょう。自身の2人の子を私立中学に通わせた石川亜希子CFPが解説します。
自分の孫を祝えないの!?…12歳長男が「難関私立中学」に合格→大喜びの40代夫婦に水を差す、祖父母の“まっとうなひと言”【CFPが警告】
孫の私立中学合格に“複雑な表情”を浮かべる夫婦の真意
タケノリさん(仮名、41歳)は、妻カオリさん(仮名、43歳)と長男ユウセイ君(12歳)との3人家族、都内郊外の分譲マンションに暮らしています。
一家は今年、最高の春を迎えていました。ユウセイ君が難関私立中学に合格したのです。
タケノリさん夫婦は有頂天、お互いの親に鼻高々と報告しました。
そこでタケノリさんの両親は「おめでとう」と言いつつ、どこか複雑そうな表情を浮かべます。祝福ムードのはずが漂う違和感。タケノリさんは拍子抜けです。
「かわいい孫ががんばって合格したのに……なんだよ、その態度! 自分の孫を素直に祝えないの!?」
母は歯切れ悪く
「もちろん祝っているわよ、ユウセイが一生懸命がんばったのも知ってる。けど……あなたたち、お金は大丈夫なの?」
「え……?」
「私ら、もう年金生活だからな、今までみたいには援助できないぞ」
父も横から口を挟みました。
「わ、わかってるよ、大丈夫だよ」
タケノリさん、まさか、お祝いや援助について淡い期待を抱いての報告だとは口が裂けても言えません。「援助できない」というひと言が胸に刺さりました。
実はタケノリさん夫婦、中学受験にかかる塾の費用について、タケノリさんの両親から金銭援助を受けていました。タケノリさんは一人っ子で、ユウセイ君は、両親にとってはたった一人の孫です。そのため、援助してもらえることを当たり前だと思っていたといいます。
しかし、両親も65歳、さすがにこれまでのようには頼れません。
そういえば、入学したらどれくらいお金がかかるんだろう……。
私立中学に進学すると年間いくら必要?
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、私立中学校に進学した場合の学習費総額は、年間で156万359円となっています。
学校教育費は、学校内でかかる費用です。入学金や授業料、施設費、制服やバッグなど指定品、修学旅行費などを指します。
学校外活動費は、学習塾や習い事など、学校教育費以外の活動に支出する費用です。
中学受験をして、私立中学から私立高校に進学した場合、6年間の学習費総額は約822万円となります。一方、公立中学校から公立高校に進学した場合は6年間の学習費総額は約342万円です。その差は約480万円、約2.4倍もの開きがあることがわかります。
中学受験の合格は、教育費についてもゴールではなくスタートです。
費用について、前もって準備が欠かせないことは言うまでもありません。
![[図表]学校種別の学習費総額 著者作成](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/540mw/img_466b019c2f97acdbbd97ea3e0d53eff255475.jpg)