悪質な管理会社が被る“善人”の仮面

管理会社は適切に建物のメンテナンスにアドバイスをしてくれて、一見良心的に見えるが、凄腕の詐欺師が善人に見えるのと同じである。管理会社はマンションの住民気質・理事会メンバーの性格、そして財務状況を完全に把握しているのだ。それが良い方向に働くこともあるだろうが、やはり慎重になるべきだ。

金銭的には施主(管理組合)と施工会社は利害が反対の立場である。なのに、これではポーカーなら手札を晒して勝負するようなもので、悪意を持った管理会社であれば好きなようにされてしまう危険がある。

監理者は施主を守る立場であるが、設計施工方式であればそれはできない。どうしても管理会社に工事をやらせる場合は、必ず管理組合側に強力なアドバイザーを付けるべきである。

また、最近はネット広告を中心に管理会社の宣伝広告を見かけるようになった。「我が社は良心的な金額で管理業務を行います。管理費を下げたいなら管理会社の変更をご検討ください」などと書かれている。

管理会社の利益となる管理費は、共用部の費用(電気・水道・ガス・電話通信)+人件費(清掃・植栽管理・その他)の積み重ねでしかない。これでは大きな利益を生み出せないのは明らかである。

安くするには人件費を下げるしかない。私たちのマンションでは、管理人の休日は日曜日だけである。ゴミの車が毎日来るので当然なのだが、それを祝日、そして土曜日を休みにして掃除の人を減らしたらどうなるか。管理の質が落ちてしまう。

そこで、狙いを大規模修繕工事に定めているのである。手口はここに書いた通りだ。安易な管理会社の変更は止めたほうが良いと思う。


建山 晃
1級建築士