子のいない夫婦のなかには、「どちらかが亡くなったとき、配偶者が遺産をすべて相続できる」と誤解している人も少なくありません。確かに、配偶者は常に相続人ですが、子がいない夫婦の場合には、亡くなった人の直系家族も法定相続人に含まれます。事例をもとに、子のいない夫婦の相続リスクと対策をみていきましょう。
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嫁姑が迎えた意外な結末
子のいない夫婦のうち、将来の相続に備えて早くから準備をしている人はあまり多くない印象です。特に現役世代では「年齢順なら親の相続が先」と考え、自分の相続対策はつい後回しにする人も多いでしょう。
とはいえ、たとえ若くても病気や不慮の事故、事件に巻き込まれる可能性はゼロではありません。考えたくはありませんが、最悪のケースを想定して準備しておきたいのが「遺言書」です。遺留分を除き、遺言書の内容は法定相続分より優先されます。
また、死亡保険金の受取人を配偶者にしておくことも有効でしょう。仮に他の親族が法定相続分を主張した場合でも、死亡保険金は相続財産に含まれず受取人固有の財産となるため、代償金として活用することができます。
義母の本音
「あの」
溢れそうになる涙をぐっと我慢して、ミナコさんは言いました。
「この家は、カズキさんとの思い出がいっぱい詰まった場所です。お渡しすることはできません。どうしてもというのであれば、現金でならお渡しすることはできると思いますが……」
マイホームを譲る代わりに、夫の死亡保険金と自分名義の預金から支払おうと、ミナコさんは腹をくくりました。
ミナコさんのこの発言を受けた義母は、予想外だったのか拍子抜けした様子です。
その後、話し合いを重ねるうちに義母の“本音”が見えてきました。義母は約5年前に夫を亡くし、今回さらに息子を失ったことで、気持ちの整理がついていなかったようでした。
そしてある日、義母はミナコさんに謝罪したそうです。
「お金が欲しかったわけじゃないの。私にはお父さんが遺してくれた家もあるし、年金で十分暮らしていけるわ。変なこと言ってごめんなさい」
結局、義母は相続を放棄することを選択。結果としてミナコさんはこれまでどおりマンションに住み続けられることになりました。
相続は複雑で、個々の事情によって判断が大きく変わります。自分のケースではどうなのか心配な場合は、専門家に相談することも検討してみましょう。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表