志望理由書の作成が面接・小論文対策のスタート
個人面接では、医学部や大学の志望理由、医師・研究者としての将来像や、医学・医療にどれくらい興味を持っているかなど、かなり掘り下げて聞かれる場合も多くなります。よくある質問の模範解答を準備するだけでは表面的な薄いものになってしまいます。掘り下げて聞かれても大丈夫な状態にするために、志望理由書をしっかり準備することが大切です。
多くの医学部が出願時に志望理由書の提出を義務づけています。提出の期限が迫ってあわてて書くのではなく、自分の勉強に対するモチベーションのためにも、Step1でお伝えした通り、あらかじめ1,200~1,600字以上しっかり書いておくことをお勧めします。書き方についてはStep1を参照してください。
面接で力を発揮するために
多くの受験生にとって、面接は不慣れなもので、どうしても緊張してしまい、何を答えたのか覚えていないという人も少なくありません。したがって面接で失敗しないための対策は必須です。具体的な面接対策としては、以下の4つが挙げられます。
面接の練習では、過去の面接でどのような内容が質問されたかを調べ、それにどう答えるかを考えておくことが重要です。
例えば、2024年度の千葉大学(一般選抜・前期)の面接試験(MMI方式)では、「あなたが医師として働いている病院ではAIによる画像診断を行っている。これを用いると肺がんを見落とすリスクが1/10になる。しかし、ある患者はAIに不信感があり、AIを使わないでほしいと言われた。この患者に肺がんが疑わしい所見があったのだがどうするか」という出題がありました。
このように多くの大学が受験生に、「医師の立場でどう考えるか」を問いかけます。このような出題内容をまったく知らずに面接に臨んだ場合、うまく答えることは難しいでしょう。そのため、面接試験の対策においても、特に過去問が重要になります。しかし、残念ながら面接試験の情報は赤本にも載っていないため、実際に受験した先輩の体験から判明したものを利用するしかありません。医学部の面接ではどのようなことが聞かれるのか、可能な限り情報収集しておきましょう。
メディカルラボでは、すべての医学部について受験生から多くのレポート(受験振り返りシート)を集めて「どんな質問をされたのか」というデータを集めています。毎年発刊している『全国医学部最新受験情報』(時事通信社)にも、前年度の面接の質問内容の一部を掲載しています。個別の質問に対する回答を考えたうえで、論理的に答える練習をしておきましょう。
①面接試験の基本準備
メディカルラボの面接対策の授業では、まず「なぜ医師になりたいのか」、「いつ頃から医師になることを志したのか」という志望動機を講師がヒアリングします。そのうえで、医学部の面接では何が問われているのか、どんなことに注意しなければならないのかという基本的な対応を確認します。
そして、志望大学の面接試験について、試験時間、過去の質問内容、面接官の人数などを確認し、受験生の考えや志望動機に基づいて、その大学の志望理由やその他の質問にどう返答するかを指導します。仕上げとして、講師が面接官になって模擬面接を実施。入退室の作法はもちろん、服装や視線、声の出し方や抑揚まで指導します。
模擬面接での回答内容については、受験生一人ひとりの生い立ちや考えに沿って、個性的でベストな回答ができるように指導しています。
②事前に回答が準備できる質問への対応
想定される質問に対しては、「どのように考えているか」を事前に整理しておく必要があります。ほとんどの大学で医師を志望する理由を聞かれますから、必ず押さえておきましょう。その場合、単に「人の役に立ちたいから」と答えるのではなく、「このような理由から医師を目指し、将来はこういう医師になりたい」と具体的に伝えましょう。
「なぜ本学を志望したのですか?」という質問に対しては、「他の大学ではダメだ。この大学でなければならない」と言える理由が必要です。地域枠で受験するのであれば、地域医療に関する意見をまとめておきます。これらについては、Step1で解説した志望理由書が役に立つはずです。
自己アピールを求める大学もあります。自己アピールには、「私の性格は医療現場で活かせる」や「高校時代にやった部活動や生徒会活動は、こういう点で将来に活かすことができる」というように「自分が身につけた医師に適した資質をアピールする」だけでなく、「医師になりたい気持ちの強さをアピールする」という意識が大事です。
受験生の社会的視野を測る目的で「最近のニュースで気になったことは?」という質問をする大学も多いので、医師を目指す者として、医療に関するニュースは日頃から注目しておくべきです。専門的な知識を問われているわけではありませんが、どんなに素晴らしい志望理由を述べても、医療問題に関心がなければ説得力が薄れてしまいます。医療関係のニュースにはできるだけ目を通し、話題となったニュースには自分なりの意見を述べられるように準備しておきましょう。
集団討論は「患者主体の医療」を実践する能力を見るのに適しています。前述の通り、医療の知識がない患者さんが医療の主体になるのは難しいことです。これを実現するためには医師と患者さんとのコミュニケーションがとても重要になります。
従来、患者さんが医療について自己決定ができるように「インフォームド・コンセント(説明と同意)」が求められてきましたが、今ではさらに医師と患者さんとの間で「相談と合意」が行われることまで求められています。ここまでできれば「患者主体の医療」が実践できていると言えるでしょう。この「相談と合意」ができるかどうかが集団討論の重要なポイントです。ですから「討論」ではなく「相談と合意」を意識した練習が必要です。
なお、「面接のときは私服で来てください」と、制服を禁止にしている大学があります。制服だと受験生の出身校がわかってしまい、学力レベルなどの先入観から人物を正確に判断できないというのが理由のようです。医学部では、医師や医学研究者になる適性や人物評価を重視していることの1つの表れでしょう。面接は短い時間で判断される場なので、態度や振る舞い、声の大きさ、言葉遣いなどの第一印象も評価に大きく影響します。
③事前に回答が準備できない質問への対応
例えば、「今までに観た映画やドラマの中から好きな作品を3つ挙げて、そのうちの1つの作品を面接官が観たくなるように紹介しなさい」(2024年度・埼玉医科大学)というように、一見医学部とは無関係に思われることを尋ねられる場合があります。
その場でどう答えて良いか迷う質問に直面しても、医師としての自覚や資質を見ているわけですから、出題意図(コミュニケーション能力を問うものなのか、相手の立場で考えることができているか、相手にわかりやすく伝える力があるのか、リーダーシップを問うものかなど)を瞬時に判断して答える練習が必要です。
また、これまでの出題傾向でグラフや資料を見て答えさせる設問が多いなら、グラフ・資料を読み取り、自分の考えを整理する練習も大切です。つまり、その場で考えを整理してまとめる必要がある事前準備ができない質問ほど、練習が必要だということです。
④模擬面接のポイント→いろいろな面接官で練習(面接練習)する
準備の仕上げに、過去問を使って模擬面接を行います。学校の先生は受験生が答えるまで待ってくれることもありますが、実際の面接では時間が限られています。そのため、受験生が答えている途中でもどんどん次の質問をぶつけてきたり、論旨の矛盾を突いてきたりと、いわゆる“圧迫面接”を行う面接官も多くいます。
なので、少し厳しいスタイルの面接の経験を積んでおくと、本番でも失敗しにくいでしょう。緊張感を持って面接に臨むためにも、同じ先生(面接官)とばかりではなく、いろいろな面接官の模擬面接を受けることをお勧めします。
メディカルラボでは、面接のプロ講師がさまざまなタイプの面接を分析し、その対策をしているので、面接の評価が気になる方はぜひ活用してください。

可児 良友
医系専門予備校メディカルラボ 本部教務統括

