医学部入試、学力だけでは測れない「人物評価」とは?面接・小論文で大学が重視していること【メディカルラボ情報研究所所長が解説】

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医学部入試、学力だけでは測れない「人物評価」とは?面接・小論文で大学が重視していること【メディカルラボ情報研究所所長が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

2021年度から始まった大学入試改革で、医学部入試でますます重要性をましている面接や小論文を通じた人物評価。前編では、直前期における学習戦略や過去問演習の考え方について、医系専門予備校メディカルラボ 情報研究所所長・山本雄三氏に話を聞きました。後編では、人物評価に焦点を当て、大学側が何を見ているのか、受験生や保護者は何を意識すべきかを掘り下げていきます。

「医師としての資質」を見極める

医学部入試では、学力試験に加えて、面接や小論文を通じた人物評価の重要性がますます高まっている。人物評価が重視される流れの背景には、2021年度から始まった大学入試改革がある。この改革では、各大学の入学者選抜において、「三つの方針(ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー)」に基づき、「学力の3要素」を多面的・総合的に評価することが求められるようになった。

 

医学部入試においては、こうした流れを受けて、MMI(Multiple Mini Interview)形式の面接を導入する大学が増加。複数の短い面接を通じて、受験生の考え方や対応力、人間性を多角的に評価することで、学力試験だけでは測れない「医師としての資質」を見極めようとする動きが強まっている。


この点について、山本氏は「決して最近始まった話ではない」と前置きしたうえで、次のように語る。

 

「大学入試改革自体は、もう10年近く前から議論されてきました。知識や技能だけでなく、思考力や判断力、表現力、そして主体性を評価しようという流れです。医学部は、その影響を特に強く受けている学部だと思います」

 

医学部は、他学部と比べても入学後の進路が極めて明確だ。医師になることを前提に教育が行われるため、大学側としても「どんな学生を受け入れるのか」を慎重に見極める必要がある。

 

「英語や数学、理科の点数だけでは、その人が将来、医師としてどういう姿勢で医療に向き合うのかまでは分かりません。だからこそ、面接や小論文で人物面を確認する必要があります」

医学部入試で問われる「主体性」とは何か

人物評価のキーワードとして、しばしば挙げられるのが「主体性」だ。しかし、この言葉の意味を正確に理解している受験生は、決して多くない。

 

「主体性というと、何か特別な活動をしていないといけない、と考える人が多いんですが、必ずしもそうではありません」

 

山本氏によれば、大学側が見ているのは、結果そのものよりも「どのように考え、行動してきたか」というプロセスだ。

 

「部活動でも、生徒会でも、ボランティアでもいい。あるいは、勉強そのものでも構いません。自分で考えて行動した経験があるかどうか、その中で何を学んだのかが重要なんです」

 

一般選抜であっても、こうした視点が重視されるようになっている点は、受験生にとって見落としがちなポイントだ。

「大学入試改革について」=メディカルラボ提供
「大学入試改革について」=メディカルラボ提供

アドミッション・ポリシーを理解せずに面接には臨めない

面接対策を考えるうえで、山本氏が繰り返し強調するのが、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)の理解だ。

 

「アドミッション・ポリシーは、『うちの大学は、こういう学生に来てほしい』というメッセージです。面接や志望理由書は、そこを前提に見られていると考えたほうがいい」

 

たとえば、研究志向の強い大学もあれば、地域医療への貢献を重視する大学、国際的な医療人材の育成を掲げる大学もある。同じ医学部であっても、求める人物像は大きく異なる。

 

「志望理由書や面接で、『なぜこの大学なのか』と聞かれるのは当然です。そのときに、大学の方針とズレた答えをしてしまうと、評価はどうしても下がってしまいます」

 

大学ごとのアドミッション・ポリシーの違いは、具体的な大学を見るとより分かりやすいと山本氏は指摘。その一例として挙げるのが国際医療福祉大学のアドミッション・ポリシーだ。

 

「ここはもう、アドミッション・ポリシーに書いてある通りの大学ですね。おそらく日本で一番、留学生の比率が高い医学部だと思います。学生の7人に1人が留学生で、アジア圏からの学生が多い。授業も英語で行われるものが非常に多くて、2年生までは、ほとんどの授業が英語で実施されます」

 

こうした教育環境を踏まえると、同大学が求めている人物像もおのずと見えてくる。

 

「つまり、ここを目指す人は、将来、国内だけでなく世界を舞台に活躍することを視野に入れている人ですよね。国際的な医療の現場に出ていく意欲や、そのための姿勢が問われている大学だと思います」

 

アドミッション・ポリシーの例=メディカルラボ提供
アドミッション・ポリシーの例=メディカルラボ提供

面接で「正解」を探そうとするのは危険

面接対策というと、「こう答えれば正解」という型を求めがちだ。しかし山本氏は、その姿勢自体が危ういと指摘する。

 

「面接には、模範解答はありません。取り繕った答えは、すぐに見抜かれます」

 

特に医学部の面接では、想定外の質問や、答えにくいテーマが投げかけられることも多い。

 

「大事なのは、うまく話すことではなく、自分の言葉で考えを伝えようとしているかどうかです。多少言葉に詰まっても、誠実に考えて答えていれば、それは評価されます」

小論文で見られているのは「知識量」ではない

小論文についても、面接と同様に誤解が多い分野だ。山本氏は「知識をたくさん書けば評価されるわけではない」と話す。

 

「医療に関する知識を並べるだけでは、小論文としては評価されません。与えられたテーマに対して、自分なりに考え、論理的に整理できているかが見られています」

 

近年は、医療制度や高齢化、終末期医療、AIと医療の関係など、社会的なテーマが頻出している。こうした質問に対応するために重要なのが、日頃から情報に触れておく姿勢だ。

 

「本当に1日1回でもいいので、ニュースには目を通しておいたほうがいいですね。ネットニュースでもいいですし、医療系のニュースをまとめているサイトもあります。ざっと眺めるだけでも、十分意味があります」

 

メディカルラボでは、こうした対策の一環として、医療や社会問題に関する情報をまとめた冊子を作成し、生徒に配布しているという。

 

「1年分、あるいは過去数年分の医療ニュースやテーマを整理したものです。面接や小論文では、直近の話題がそのまま聞かれることもありますから、事前に全体像をつかんでおくことが大切です」

 

知識を詰め込むというよりも、社会の動きに関心を持ち、自分なりに考える習慣を身につけておくこと。その積み重ねが、人物評価を重視する医学部入試では大きな差につながってくる。

注意が必要な面接試験の質問の例=メディカルラボ提供
注意が必要な面接試験の質問の例=メディカルラボ提供

 

医学部特有の「倫理観」が問われる場面

医学部の面接や小論文では、倫理的な判断を問われるケースも少なくない。たとえば、安楽死や終末期医療、医療資源の配分といったテーマだ。

 

「医学部の場合、入学した時点で、将来は医師になることがほぼ前提になります。だからこそ、倫理観や価値観を確認する質問が出てきます」

 

ここでも、唯一の正解があるわけではない。

 

「重要なのは、極端な考えに走らず、患者や社会への影響を考えながら、自分なりに筋道を立てて説明できるかどうかです」

2025年度特徴があった小論文試験の内容=メディカルラボ提供
2025年度特徴があった小論文試験の内容=メディカルラボ提供

 

「馬を水辺に連れて行くことはできても…」保護者にできること、できないこと

後編の最後に、受験生に対する保護者の関わり方についても触れておきたい。医学部受験は長期戦になりやすく、保護者の影響も決して小さくない。

 

山本氏は、イギリスの、ある有名なことわざを引き合いに出す。

 

「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない、という言葉があります。勉強するかどうかを決めるのは、あくまで本人です」

 

保護者ができるのは、環境や機会を整えることまでだという。

 

「情報を集めたり、オープンキャンパスに一緒に行ったりするのは意味があります。でも、勉強そのものを親が代わりにやることはできません」

 

家庭内で医療や社会問題について会話することは、面接や小論文対策としても有効だ。

 

「日常的に考える習慣があるかどうかは、面接の受け答えにも表れます。特別なことをする必要はありませんが、親子で話す時間は大切にしてほしいですね」

医学部入試は「総合評価」の時代へ

学力試験、面接、小論文。医学部入試は、複数の要素を組み合わせた総合評価の時代に入っている。

 

「学力は大前提ですが、それだけでは決まりません。どんな考えを持ち、どんな姿勢で医療に向き合おうとしているのか。大学側は、そこを本気で見ています」

 

医学部入試は、単なる学力競争ではない。直前期の戦略的な学習と同時に、自分自身をどう言葉で表現するかが、合否を左右する場面も確実に増えている。学科試験と人物評価、その両輪を意識しながら、本番までの時間をどう使うか。山本氏の言葉は、受験生と保護者の双方にとって、大きなヒントになるはずだ。

 

 

山本 雄三

医系専門予備校メディカルラボ 情報研究所所長

 

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