人材会社やコンサルと“競争”する必要はない
ここで重要なのは、人材会社やコンサルと同じことをする必要はないということです。
人を集めるのは人材会社、制度や法務を整理するのは専門家の役割です。事業者は、現場で実際に機能しているやり方を提供するだけで、十分に事業価値があります。役割を分けることで、競争ではなく補完関係が生まれます。
事業者の強みは、理論ではなく実体験に裏打ちされたリアリティにあります。
先述した「3つ」のモデルを事業として成立させるためには、社内の負担を増やさないことが大前提です。新たに事業を立ち上げるといっても、現場を知る管理職が外に出てコンサルティングを行う必要はありません。
普段の仕事のなかで行っている、「この条件なら続く」「ここでつまずきやすい」といった判断を整理し、型として提供するだけでいいのです。その際経営者は、社内全体の負荷が過度にならないように調整することが重要な役割です。
他社への支援を通じて得られた気づきは、必ず自社の採用や現場運営に返ってきます。他社の失敗や成功を見ることで、自社のやり方を客観的に見直す機会にもなります。
人手不足の経験を事業化することは、本業を犠牲にする挑戦ではなく、本業を磨き直すプロセスでもあるのです。
悩んで得た知見が、「持続可能な成長戦略」の一部になる
人手不足は、嘆いても解消しません。そして、今回みてきたように、既存のコンサルや人材サービスを活用しても簡単には解決できないのが現状です。
それでも、採用や定着に向き合い、現場を何とか維持してきた企業であれば、その経験を“外に出す”ことは、無理のない形で始められる新たな事業の選択肢となります。
人手不足を「問題」として抱え続けるのではなく、経験を活かした「事業」へと変えていく。それが、人手不足時代における、現実的で持続可能な成長戦略です。
貝井 英則
シェル総合会計事務所代表/公認会計士/税理士/社会保険労務士/証券アナリスト/宅建士

