ライフスタイルの変化などを受けて価値観が変わり、「共働き夫婦」や「子育ての分担」が当たり前になりつつあります。しかし、夫が外で働き、妻が家庭を守るのが当然とされていた親世代のなかには、その変化についていけない人もいるようです。朝日新聞取材班の著書『ルポ 熟年離婚』(朝日新聞出版)より、義母と夫による「役割の押しつけ」に苦しんだ50代女性の事例を紹介します。
あなたの息子さんは、そんなにできた人ですか?…50代・公務員女性が夫の実家で“のど元まで出かかった言葉”を我慢。義母が口にする「悪気のないお節介」への嫌悪感【ルポ】
母親が仕事をしていたら…義母が口にした衝撃のひと言
もう20年以上も前のことだ。それなのに、埼玉県に住む50代の女性は義母から言われた言葉が忘れられない。思い出すだけで、胸の辺りがひりひりする。
下の子が小学校の低学年だったころ。年末に義父母の家に帰省したときだった。義母が尋ねてきた。
「ねえ、いつまで仕事を続けるの? 子どもたちがかわいそうよ。母親が仕事をしていたら、子どもは不良になるわよ」
なんてことを言うんだろう。驚きすぎて頭が真っ白になった。次に、のど元まで言葉が出かかった。
「だったら、専業主婦で育てたあなたの息子さんは、そんなにできた人なのでしょうか?」
もうこの家の人たちとは一緒にやっていけない。顔を見るのも嫌。同じ墓に入るのなんてもってのほか。積もり積もった義理の実家の全てが受け入れがたく、許せなくなったのはこのときだったと思う。
専業主婦の義母、共働きの母…身につけた価値観がまったく違っていた
結婚当初から、どうにも義父母とは、合わなかった。特に義母とは、女性が仕事を続けることへの価値観が違いすぎた。それでも、結婚したときは、こんなにも相手の「家」の存在に辟易するとは想像していなかった。
共働きで家事はワンオペ…「どうして私ばっかり」が口癖だった母
義母は専業主婦だった。夫が働きに出て、妻は家を守る。そういう価値観を持ち、息子の妻もそうして当然だと思っていることを、言葉の端々から感じた。一方、女性が育った家庭は共働きだった。父も母も忙しく働き、母は、仕事をしながら、掃除に洗濯、食事の用意をこなしていた。父が手伝う姿は見たことはない。
忙しすぎて機嫌が悪くなると、「どうして私ばっかりなの。結婚なんてしなければよかった」と口癖のように言っていた。だからだろう、周りの友達のように、「結婚=幸せ」と考えたことはなかった。
自分で稼ぎ、1人でも生きていける力を身につけたい。公務員として働くことを決めた。