定年退職後、「社会保険の切り替え」に戸惑う人は少なくありません。特に健康保険は、選択を誤ると思わぬ負担増につながることも……。定年を迎えた65歳男性と35歳息子の事例をもとに、「定年後の盲点」をみていきましょう。
父さんを、扶養に入れてくれないか…年収600万円の35歳男性、尊敬する厳格な父から電話で告げられた「まさかのお願い」に絶句【CFPの助言】
扶養に入れてくれ…父からの思わぬ申し出に絶句した息子
「もしもし……突然ですまんが、頼みがある。父さんを、扶養に入れてくれないか」
突然の言葉に、息子は絶句。
タケシさんは、昔気質の厳格な性格で、子どものころから社会人のいまに至るまで、息子にこうした頼り方をしたことはありません。厳しくも優しく頼れる存在だった父を、カズマさんは心の底から尊敬していたのです。そんな父からのまさかのお願いに、驚きを隠せませんでした。
「は? 父さんを養えってこと?」
「いやいや、養ってもらいたいわけじゃないんだが……」
煮え切らない態度の父に、カズマさんはますます困惑します。
双方にメリットがある…父が打ち明けた「お願い」の理由
しばらく沈黙が続いたあと、タケシさんは言いました。
「落ち着いて聞いてくれ。これには理由がある」
定年後の健康保険料の負担増に驚いたこと。調べた結果、現在の年金収入などの条件から、制度上は息子の社会保険の扶養に入ることが可能であること。もし扶養に入ることができれば、自身の健康保険料がかからなくなること。タケシさんは、淡々と説明しました。
カズマさんは、父の言いたかったことを理解したようです。
「ああ、なるほど。健康保険料を抑えたいってことね」
タケシさんは続けます。
「それだけじゃない。場合によっては扶養控除が適用されて、お前の税負担も軽くなるかもしれない」
2人は冷静に話し合った結果、カズマさんは父の提案を受け入れ、さっそく健康保険の切り替えを進めていくことにしました。
扶養に入れば保険料がゼロに?定年後の「保険選び」のポイント
定年退職後に必要となる主な手続きのひとつに、「健康保険の切り替え」があります。会社員として働いているあいだは意識する機会が少ないものの、退職後は自分で健康保険を選択しなければなりません。
定年退職後に選択できる健康保険は、主に次の3つです。
このなかで、条件を満たせば大きなメリットがあるのが、タケシさんが提案した「親族の健康保険に扶養として入る」という方法です。社会保険上の扶養に入ることができれば、原則として健康保険料の負担は発生しません。
