人生には結婚や昇進といったポジティブな転機がある一方、離婚や解雇、介護など、心身に負担のかかるネガティブな転機が訪れることもあります。ただ、そのネガティブな転機を、自身の将来について考える機会だとポジティブにとらえることで、その後の向き合い方が変わります。親の介護をきっかけに自身の将来について考えはじめた40代会社員の事例をもとに、40代が向き合いたい「介護」と「資産形成」についてみていきましょう。
70代の父が自宅で転倒…親の介護をきっかけに「自分の将来」が不安になった40代会社員の事例【みんなが資産形成をはじめたきっかけ】 (※画像はイメージです/PIXTA)

「介護不安」に備える40代の資産形成術

 

筆者が聞いた話によると、Aさんは中小企業の営業職で、同い年の妻・Bさんは同じ会社の事務職員とのこと。いわゆる社内結婚で、夫婦の年収は合わせて約1,000万円(Aさん600万円、妻400万円)です。

 

世帯年収1,000万円でも、「介護離職」になれば生活は一変

国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、40代前半の男性の平均給与は617万円、女性は345万円。40代後半では男性660万円、女性347万円となっています。これと比較すると、A夫婦の収入は平均的な水準であることがわかります。

 

父親の介護は骨折による一時的なもので、時間はかかるものの治癒すればAさんの負担は軽くなる見込みです。とはいえ、70代の両親が今後歳を重ねれば、病気やケガによって長期にわたって介護が必要になる可能性があります。その場合、仕事との両立が難しくなる恐れもあるでしょう。

 

総務省「令和4年就業構造基本調査」によると、介護や看護を理由に過去1年間で離職した人は男女合わせて10.6万人にのぼります。Aさん自身も、介護が長期化すれば「介護離職」につながるのではと、不安を口にしていました。

 

介護と老後資金準備に役立つ『iDeCo』

40歳になると、健康保険に加え、「介護保険料」も会社と折半で給与から控除されます。したがって、Aさんのように直接的な出来事がなくとも、介護とお金について考えはじめている40代も多いのではないでしょうか。

 

老後や介護に不安を感じているAさんのような人には、資産形成方法のひとつとして「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の活用をおすすめします。iDeCoは現役時代であっても、掛金の全額が「小規模企業等掛金控除」として所得控除の対象となるため、節税効果が期待できます。

 

ただし、原則として途中解約はできません。そのため住宅ローンや教育費の負担が大きい時期は、掛金を少額(最低5,000円/月から)に設定するといいでしょう。

 

その他、民間の介護保険の加入も選択肢となります。さらに、中長期的な資産形成を考える場合には、必要に応じて取り崩しが可能で、非課税で再投資できる「NISA」の活用も検討しましょう。

 

また、共働き家庭では、どちらか一方の収入が途絶えると生活に大きな影響が出る可能性があります。そこで、働けなくなった場合に備えて「就労不能保険」への加入も視野に入れておきたいところです。

 

住まいについては、A家が暮らすマンションはまだしばらく住宅ローンが残っており、実家ではまとまった資金を必要とするリフォームを検討中とのこと。したがって、場合によっては「A家と両親の同居」を含めた将来の住まいのあり方について話し合う必要がありそうです。