孫がかわいい――その気持ちが強すぎるあまり、気づけば子世帯から距離を置かれてしまうシニアは少なくありません。一方で、共働きで子育てに追われる家庭にとって、親の存在は心強い支えにもなり得ます。両者の分かれ道は、善意と執着のわずかな違い。本記事では、孫に過度に関わろうとする義母に悩む女性の事例をもとに、シニアが「疎まれる存在」ではなく「頼られるサポーター」になるために必要なマインドチェンジについて、CFPの松田聡子氏が解説します。
勘弁してよ…義理の母から贈られた「20万円の五月人形」が廊下を占領。過剰な孫溺愛に33歳嫁“ドン引き”も、3年後に一転「大感謝」に変わったワケ【CFPが解説】
意地を張れば「1.7億円」を捨てることに? きれい事では済まない、女性の働き方と生涯所得の現実
「仕事を辞めるか、続けるか」というめぐみさんの悩みは、決して彼女個人だけの問題ではありません。多くの共働き世帯が直面するこの問題は、実は家族の生涯可処分所得を劇的に左右する、極めてシビアな経済的決定でもあります。
内閣府政策統括官(経済財政分析担当)の「女性の出産後の働き方による世帯の生涯可処分所得の変化」のデータによると、夫婦・子ども2人世帯において、29歳で第1子、32歳で第2子を出産後、正社員での就労を継続したケースと、第1子出産後に退職し、その後再就職しなかったケースでは、両世帯の生涯可処分所得に約1.7億円もの差が出るといいます。
この数字には、将来受け取る退職金や年金の額も含まれているため、2億円近い差が出る結果となりました。ほかにも、離職後に正社員として再就職するケースや、非正規として仕事を継続するケースなど、さまざまなキャリアパターンがあります。しかし、いずれにしても、正社員として就労を継続することの経済的優位性は変わりません。
マネジメント職に従事するめぐみさんの場合、離職による損失を回避できるかどうかは、家計にとって大きな経済的分水嶺となるのです。
では、この生涯可処分所得を守り抜くために何が必要なのでしょうか。共働きを維持できている世帯の多くに共通するのは、近隣に住む親(祖父母)からの物理的なサポートです。
物価高や教育費の高騰が進む昨今、共働き体制の維持は、生活のゆとりを確保するためではなく、家計の生存戦略となりつつあります。しかし、どれほど制度(看護休暇や時短勤務)が整っても、子どもの発熱や入院といった不測の事態に、職場が100%対応し続けるのは困難なのが現実です。
もし、手を貸してくれる親が近くにいれば、どれほどの助けになるかは言うまでもありません。よほど親子関係(嫁姑関係)が悪化していないかぎり、サポートしてもらうのが現実的ではないでしょうか。