孫がかわいい――その気持ちが強すぎるあまり、気づけば子世帯から距離を置かれてしまうシニアは少なくありません。一方で、共働きで子育てに追われる家庭にとって、親の存在は心強い支えにもなり得ます。両者の分かれ道は、善意と執着のわずかな違い。本記事では、孫に過度に関わろうとする義母に悩む女性の事例をもとに、シニアが「疎まれる存在」ではなく「頼られるサポーター」になるために必要なマインドチェンジについて、CFPの松田聡子氏が解説します。
勘弁してよ…義理の母から贈られた「20万円の五月人形」が廊下を占領。過剰な孫溺愛に33歳嫁“ドン引き”も、3年後に一転「大感謝」に変わったワケ【CFPが解説】
20万円の五月人形に唖然。孤独に育児を回す30代嫁の限界
千葉県に住む高柳めぐみさん(33歳・仮名)は、リビングで立ち尽くしていました。廊下には、つい数時間前に届いたばかりの巨大な段ボール箱が鎮座しています。中身は、義母の美代子さん(61歳)が「初孫の純太に」と勝手に送りつけてきた、20万円もする豪華な五月人形でした。
現在、地方銀行のマネジメント職として働くめぐみさん。息子の純太くんが生まれて以来、県内の別の市に住む義母からの過干渉に頭を悩ませてきました。
「お金は私たちが援助するから、一番いいものを揃えなさい」
「保育園のお迎え、私が行っておいたから」
美代子さんに悪気がないのは分かっています。しかし、日々1分1秒を惜しむような共働き体制かつ、2LDKの限られた生活スペースで生活するめぐみさんにとって、大きな場所を取る豪華な人形や、育児のリズムを乱す勝手な行動は、ありがた迷惑を通り越して苦痛でしかありませんでした。
「もう二度と来るなと言おうか?」
夫の智樹(33歳)さんに相談しても、返ってくるのはそんな極端で投げやりな言葉だけ。めぐみさんの両親は実家の九州に住んでいるため、物理的な助けは望めません。
孤独の中で「義母との絶縁」すら考え始めていた矢先でした。智樹さんの妹に子どもが生まれたのと時を同じくして、美代子さんの訪問が激減したのです。
義母の過干渉は終わったが、新たな問題勃発「最大の危機」へ
もしかすると、美代子さんはめぐみさんに迷惑がられていたことに気づき、自分から身を引いたのかもしれません。しかし、仕事と育児に追われるめぐみさんには、そんなことを考える余裕がありませんでした。
その後、純太くんが3歳になったとき、めぐみさん夫婦に第2子となる萌ちゃんが誕生します。萌ちゃんは生まれつき身体が弱く、保育園から頻繁に呼び出しがかかりました。
萌ちゃんに何か不調が起こるたびに、めぐみさんは仕事を休まざるを得なくなってしまいました。夫の智樹さんも協力してくれますが、純太くんの世話と並行しての看病は、核家族にとって極めて重い負担となりました。
「もし、萌の体調がこのまま安定しなかったら、私は仕事を辞めなければならないかもしれない……」
めぐみさんの看護休暇・有給休暇はあっという間に底をつきました。さらに、萌ちゃんの医療に関連する費用と自身の欠勤による収入減によって、家計の余裕は急速に失われていきます。子育てと両立してきためぐみさんのキャリアも、今、最大の危機に瀕していました。