年金の受給開始を早める「繰り上げ」か、遅らせる「繰り下げ」かは、老後の資金計画を大きく左右します。70歳まで遅らせた場合の損益分岐点は「82歳」ですが、額面が増える分だけ税金や社会保険料の負担が重くなる点には注意が必要です。本記事では、『増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、著者でFPの横田健一氏が、それぞれのメリット・デメリットの比較を解説します。
年金受給「繰り上げか繰り下げか」メリット・デメリットを比較。70歳まで受け取りを遅らせると“82歳”が損益分岐点も「見逃せないリスク」に注意【FPが解説】
「公的年金」を早くもらうか、遅くもらうか
公的年金は原則65歳から支給されますが、受給開始を遅らせる「繰り下げ受給」や、受給開始を早める「繰り上げ受給」も選択できます。テレビや新聞、雑誌などでよく話題になるので、ご存じの方も多いでしょう。
繰り下げ、繰り上げとも、1カ月単位で行うことができ、1カ月繰り下げると年金額が0.7%増えます。1年の繰り下げでは8.4%増、5年で42%増で、最大75歳まで繰り下げると84%増です。かなり大きく増えること、また増えた年金が一生涯続くことから、老後の安心感が増すと考えられています。
会社員では基礎年金(国民年金)と厚生年金の2階建てですが、いずれか一方を繰り下げることもできます。
繰り上げを選択する場合は基礎年金、厚生年金セットでの繰り上げとなり、どちらか一方を繰り上げることはできません。ねんきん定期便の表面の中央には、基礎年金、厚生年金ともに繰り下げて70歳から受給する場合、75歳から受給する場合の年金額が記載されています。