内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)」によると、60歳以降に住み替えの意向が「ある」または「状況次第で検討したい」と回答した人の割合は、全体で3割を超えていました。では、高齢期に住み替えを検討する場合、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。役職定年を迎えてから憧れのマイホームを購入した夫婦の実例をもとに考えてみましょう。
寂しい老後になったわね…〈年金月18万円〉〈退職金1,800万円〉60代仲良し夫婦、定年後に買った「中古の庭付き一軒家」で後悔の日々【CFPの助言】
マイホーム購入を後悔
ねんきん定期便によれば、Aさんが65歳から受給できる年金額は月18万円です。Bさんのパート代8万円を合わせた26万円が1ヵ月の収入となる予定でした。余裕はありませんが、ローンが終わるまでのことと、二人はさほど深刻に考えていなかったといいます。
ところが、年金額に誤算がありました。年金から社会保険料が引かれることは知っていましたが、天引き後の振込額は16万円だったのです。物価高で食費をはじめとした生活費がかさんでいることもあり、家計が厳しくなります。
こうしたなか、毎月2~3万円ずつ預金を取り崩しての生活が始まりました。最近は、徐々に目減りしていく残高を見るのが憂うつです。
また、日常生活以外にも大きな出費がありました。自宅の給湯器が壊れて買い替えたほか、数年内には外壁と屋根の塗装もしなくてはなりません。
お金の心配があると生活を楽しむ余裕がなくなるようです。引っ越し当初に夫婦ではじめた庭での家庭菜園やガーデニングも、いまや楽しむ気力がありません。目の前に広がるのは雑草が目立つ小さな庭です。
そして、数ある後悔ポイントのなかでもっともつらいのが、都内に住む子どもたちがなかなか訪ねてきてくれなくなったことでした。日帰りには少し遠い、でも泊まる距離ではないらしく、足が遠のいてしまうようでした。
「なんだか、寂しい老後になってしまったわね」「こんなつもりで引っ越したわけじゃないんだけどな」と、Bさんは最近よく口にします。その言葉を聞くたびに、Aさんに後悔の念がこみ上げてくるのでした。
定年後に家を買う際の注意点
定年後であっても、金融機関によって住宅ローンを組むことは可能です。しかし、多くの金融機関では完済年齢を80歳未満としているため、30代や40代でローンを組む場合よりも返済期間が短くなります。
会社員の場合、60歳以降は収入が減少するケースが一般的であるため、頭金をより多く準備するなどして返済負担を抑える工夫が必要です。ただし、毎月の返済負担を抑えるために預金を減らしすぎてしまうのは、年金生活者にはリスクがともなうでしょう。