内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)」によると、60歳以降に住み替えの意向が「ある」または「状況次第で検討したい」と回答した人の割合は、全体で3割を超えていました。では、高齢期に住み替えを検討する場合、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。役職定年を迎えてから憧れのマイホームを購入した夫婦の実例をもとに考えてみましょう。
寂しい老後になったわね…〈年金月18万円〉〈退職金1,800万円〉60代仲良し夫婦、定年後に買った「中古の庭付き一軒家」で後悔の日々【CFPの助言】
定年後にマイホームを購入した夫婦
夫のAさん(66歳)と妻のBさん(61歳)は6年前、神奈川県の郊外に中古の庭付き一軒家を購入しました。
夫婦はそれまで、都内の賃貸住宅に暮らしてきました。結婚直後は2LDKのマンションに住み、子どもが生まれて4人家族になってからは4LDKのマンションに引っ越しました。ライフステージに合わせて住み替えができるのは賃貸の特権です。
また気軽に住み替えができるため、子どもたちの学校の選択肢を広げることもできました。
しかし、Aさんは密かに「いつかはマイホームを持ちたい」「庭付きの戸建で、優雅にのんびり暮らしたい」という夢を抱いていたといいます。
そして、ついにその夢をかなえたタイミングが、Aさんが役職定年を迎えた6年前でした。激務だった仕事に余裕ができ、二人の子どもは独立して家を出たばかり、夫婦二人暮らしになっていました。
「なあ、家を買おうか……」とAさんは、妻Bさんに持ちかけたのです。
夫の思いに薄々気づいていたBさんも「そうね、探してみましょうよ」と乗り気の様子。都内のAさんの職場に通勤可能で、Bさんが子どものころ住んでいたため土地勘のある神奈川県で、予算的にちょうどいい物件が見つかりました。
1,500万円の預金から1,000万円を頭金として、築25年・3,800万円の中古住宅を購入。2,800万円の住宅ローンを組み、毎月の返済額は約16万円(ボーナス払いなし)の15年ローンです。
60歳でローンを組んだので、完済するのは75歳の予定です。しかし、Aさんはある計画を立てていました。退職金が出たら、一部を繰り上げ返済しようと考えていたのです。
そして、65歳定年で1,800万円の退職金を手にしたあと、800万円を繰り上げ返済に充てました。おかげで70歳で住宅ローンが完済できる目途が立ちましたが、この時点のAB夫妻の資産は、元々あった預金と合わせて1,300万円となっていました。