老後に向けて家計を見直すとき、まず目をつけるのが「保険料」です。月1万円、2万円と減らせば、確かに家計は楽になります。しかし、その判断が将来にどんな影響を及ぼすのか、きちんと考えたことはあるでしょうか。一見、賢い節約に見えた保険の見直しが、後になって「取り返しのつかない後悔」につながるケースも少なくありません。ある50代会社員の実例から、保険見直しの落とし穴について、ファイナンシャルプランナーの三原由紀氏が解説します。
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節約どころか大損だよ…いらない保険をばっさり解約、「年20万円浮いた」はずが裏目。〈年収500万円〉〈貯金650万円〉55歳会社員が病室で落胆したワケ【FPの助言】
保険を減らす前に確認すべき4つの視点
佐藤さんのケースから見えてくるのは、「保険を減らすこと」自体が問題なのではない、という点です。大切なのは、何を減らし、何を残すのかを整理することです。
まず一つ目は、将来、入り直せる余地があるかどうかです。年齢や健康状態を踏まえ、「本当に後から備え直せるのか」を冷静に考える必要があります。
二つ目は、その保険がカバーしているリスクの種類です。医療費なのか、働けない期間の収入減なのか、老後資金なのか。役割が違えば、優先順位も変わります。
三つ目は、貯金で本当に代替できるか。「100万円なら払える」と思っても、それが老後資金からの取り崩しであれば、将来の生活に確実に影響します。
そして四つ目が、保険の中身が今の医療や生活に合っているかです。特に20年以上前に加入したがん保険は、入院中心の保障設計になっていることも多く、現在の通院治療や短期入院では十分に使えない場合があります。こうした場合は、「何となく残す」のではなく、内容を確認したうえで見直すことが重要です。
保険見直しに、万能の正解はありません。佐藤さんのケースでは、老後資金づくりとして加入していた変額保険は、20年以上の長期運用で一定の資産形成ができており、継続した判断自体は妥当だったといえます。一方で、がん保険の解約は後悔が残りましたが、これは結果論でもあります。
ただ一つ言えるのは、「減らせば安心」でも、「残せば安心」でもないということです。あなたの保険は、これからの生活に本当に合っているでしょうか。一度、立ち止まって確認してみる価値はありそうです。
三原 由紀
プレ定年専門FP®