老後に向けて家計を見直すとき、まず目をつけるのが「保険料」です。月1万円、2万円と減らせば、確かに家計は楽になります。しかし、その判断が将来にどんな影響を及ぼすのか、きちんと考えたことはあるでしょうか。一見、賢い節約に見えた保険の見直しが、後になって「取り返しのつかない後悔」につながるケースも少なくありません。ある50代会社員の実例から、保険見直しの落とし穴について、ファイナンシャルプランナーの三原由紀氏が解説します。
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節約どころか大損だよ…いらない保険をばっさり解約、「年20万円浮いた」はずが裏目。〈年収500万円〉〈貯金650万円〉55歳会社員が病室で落胆したワケ【FPの助言】
健康診断で「再検査」の通知…想定外の負担に唖然
わずか数ヵ月後、56歳を目前にしたある日、佐藤さんの元に健康診断で再検査の通知が届きます。結果は初期のがん。幸い早期発見でしたが、治療は長期化しました。
治療は消化器系のがんによる開腹手術で、標準治療(保険診療)でした。医療費の自己負担も高額療養費制度の範囲内に収まり、最終的には8万円ほど。治療費そのものは、想定外に高額だったわけではありません。
しかし、家計への影響はそれだけではありませんでした。
退院後も通院治療が続き、体調がすぐれない日は電車移動が難しく、タクシーを使うことが増えていきます。体力の低下から残業もできなくなり、収入は徐々に目減りしていきました。さらに、回復を少しでも早めたい一心で、親戚から勧められた健康機器を購入するなど、医療費以外の出費も重なります。
こうした支出と収入減が積み重なり、治療が一段落するまでの間に、佐藤さんは貯金から100万円ほどを取り崩すことになりました。
「いざという時は貯金を使えばいい」
そう思っていましたが、その“いざ”が現実になると、負担感は想像以上でした。
そこで初めて、佐藤さんは気づきます。
「もし、あのがん保険を解約していなければ、診断給付金100万円をもらえたのに……」
がんの治療をしながら、お金のことを考えなくてはいけない。これは精神的にも苦しいものでした。また、再加入したくても診断後では加入できる保険は限られ、保険料も高額。結果的に見直しが裏目に出てしまい、後悔することになったのです。