「保険は減らすべき」という空気が生んだ、50代の判断ミス

佐藤さんの判断は、決して突飛なものではありません。むしろ、「よくある判断」といえるでしょう。近年、「保険は入りすぎ」「見直せば家計が楽になる」といった情報は、ネットや書籍、SNSなどにもあふれています。

特に50代は、教育費が一段落し、老後資金を意識し始める時期です。佐藤さんのように、「今からでも間に合う節約」として、保険料に目が向く人は少なくありません。

もちろん定期的に保険を見直すこと自体は、決して間違いではありません。家族構成や収入、ライフステージの変化に合わせて、保障内容を点検することは大切です。佐藤さんの判断も、「見直しをしたこと」そのものを後悔すべきではありません。

問題は、その多くが「今の自分」を基準に判断してしまうことです。健康で、働けて、貯金もそれなりにある。だから「医療保険やがん保険はもういらない」と考えてしまう。しかし、保険が必要になるのは、まさにその前提が崩れたときです。

さらに厄介なのが、「また入り直せばいい」という思い込みです。実際には、50代半ば以降になると、健康状態によって加入できる保険は限られ、保険料も高くなります。佐藤さんのように、診断後ではほとんど選択肢が残らないケースも珍しくありません。

「老後資金を守るために保険を減らしたつもりが、結果的に老後資金を取り崩すことになった」

これは、多くの人が陥りやすい落とし穴だといえるでしょう。