老後に向けて家計を見直すとき、まず目をつけるのが「保険料」です。月1万円、2万円と減らせば、確かに家計は楽になります。しかし、その判断が将来にどんな影響を及ぼすのか、きちんと考えたことはあるでしょうか。一見、賢い節約に見えた保険の見直しが、後になって「取り返しのつかない後悔」につながるケースも少なくありません。ある50代会社員の実例から、保険見直しの落とし穴について、ファイナンシャルプランナーの三原由紀氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
節約どころか大損だよ…いらない保険をばっさり解約、「年20万円浮いた」はずが裏目。〈年収500万円〉〈貯金650万円〉55歳会社員が病室で落胆したワケ【FPの助言】
「保険は減らすべき」という空気が生んだ、50代の判断ミス
佐藤さんの判断は、決して突飛なものではありません。むしろ、「よくある判断」といえるでしょう。近年、「保険は入りすぎ」「見直せば家計が楽になる」といった情報は、ネットや書籍、SNSなどにもあふれています。
特に50代は、教育費が一段落し、老後資金を意識し始める時期です。佐藤さんのように、「今からでも間に合う節約」として、保険料に目が向く人は少なくありません。
もちろん定期的に保険を見直すこと自体は、決して間違いではありません。家族構成や収入、ライフステージの変化に合わせて、保障内容を点検することは大切です。佐藤さんの判断も、「見直しをしたこと」そのものを後悔すべきではありません。
問題は、その多くが「今の自分」を基準に判断してしまうことです。健康で、働けて、貯金もそれなりにある。だから「医療保険やがん保険はもういらない」と考えてしまう。しかし、保険が必要になるのは、まさにその前提が崩れたときです。
さらに厄介なのが、「また入り直せばいい」という思い込みです。実際には、50代半ば以降になると、健康状態によって加入できる保険は限られ、保険料も高くなります。佐藤さんのように、診断後ではほとんど選択肢が残らないケースも珍しくありません。
「老後資金を守るために保険を減らしたつもりが、結果的に老後資金を取り崩すことになった」
これは、多くの人が陥りやすい落とし穴だといえるでしょう。