公的年金は、老後の生活を支える収入として、多くの人にとって欠かせない存在です。もっとも、年金制度は改定を重ねて年々複雑になっていることから、“知らずに損をしている人”も少なくありません。「支給される年金額は変わっていないはずなのに、なぜか手取りが減っている」そんな違和感を覚えた68歳男性の事例から、年金制度の注意点「公的年金等の源泉徴収票」の要チェックポイントを見ていきましょう。
なにかの間違いでは…年金月18万円の68歳男性、日本年金機構から毎年1月に届く〈青色のはがき〉で知ったまさかの事実【CFPが「公的年金等の源泉徴収票」のポイントを解説】
年金が減っている!?…「青色のはがき」で知ったまさかの事実
寝無勤減男さん(仮名・68歳)は、長年中小企業の印刷会社に勤務してきました。現在は年金生活に入り、妻と娘の3人で暮らしています。
娘は結婚して家庭を持っていましたが、昨年離婚して実家に出戻り。現在は無職です。
寝無勤さん自身の年金額は、月に約18万円。妻の年金が月7万円ほどあるため、世帯全体では月あたり約25万円の収入があります。
年が明けたある日、日本年金機構から届いた「公的年金等の源泉徴収票」を、前年のものと見比べた寝無勤さんが、ある変化に気づきました。
支払金額の欄を見ると、前年度と比べて、月額換算で約4,000円少なくなっていたのです。
寝無勤さんは年金制度や税金について詳しいわけではなく、理由を考えてみても心当たりがありません。
不安を抱いた寝無勤さんは「なにかの間違いでは」と思いつつ、過去に相談したことのあるファイナンシャルプランナー(FP)に連絡しました。
原因は「出し忘れていた1枚の書類」
寝無勤さんから一連の経緯を聞いたFPは、年金減額の原因についてある可能性を口にします。
「寝無勤さまは『扶養控除等申告書』の手続きを忘れていたのではないでしょうか?」
「扶養控除等申告書」とは、公的年金の受給者に対して、毎年9月ごろに日本年金機構から届く書類です。配偶者控除や扶養控除など、該当する控除がある場合は、内容を記入して提出する必要があります。
もしこの申告書を提出していない場合、原則として基礎控除しか適用されず、その結果、所得税が多く計算されてしまう可能性があるのです。
さっそく源泉徴収票を確認したところ、配偶者の有無の欄にチェックが入っておらず、配偶者控除が適用されていませんでした。
さらに注意が必要なのは、この源泉徴収票の内容が、住民税の計算にも反映される点です。
住民税は6月に金額が見直され、これは源泉徴収票の情報をもとに算出されます。そのため、所得税だけでなく住民税にも影響するのです。所得税と住民税を合わせて、年間で10万円近く差が出るケースもあります。
「たしかに、書類が届いていたような。なんだか難しそうで後回しにしているうちに、出し忘れてしまったのかもしれません……もうどうにもなりませんか?」