厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が、統計のある1947年以降で過去最高を更新し続けているそうです。しかし、離婚は決して簡単ではありません。朝日新聞取材班による著書『ルポ 熟年離婚』(朝日新聞出版)より、とある理由から「離婚拒否」に人生をささげた女性の事例を紹介します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
愛人も巻き込んで苦しめたい…浮気した夫が〈財産分与5億5,000万円〉〈慰謝料3,000万円〉を提示→それでも離婚を拒否した55歳女性、「自分の担当弁護士から訴えられる」ドロ沼の結末【ルポ】
しぶしぶ離婚に応じた妻だったが…さらなるドロ沼に
調停委員や双方の弁護士は妻に対し、「これからの人生、生活にも困らない。過去にこだわって夫や愛人相手に訴訟を起こしてストレスを抱え込むより、調停を成立させたほうがよいのでは」と説得。妻はしぶしぶ応じた。
ところが、離婚調停が成立して数日後、妻は後悔の気持ちを弁護士に伝えてきた。
「5億円もらっても、夫と愛人がホッと安心して幸せに暮らすことが許せない。お金が少なくなっても、離婚訴訟をして愛人も巻き込んで苦しめたい」
妻は別の弁護士を立て、調停の不成立を裁判所に申し立てた。しかし受け付けてもらえなかった。
そこで妻は離婚届を役所に出さず、放置。夫側が調停調書をそえて離婚届を提出、受理され、財産分与は履行されたという。
しかし、妻の怒りは収まらず、矛先は調停を担当した弁護士にも向かった。
離婚調停を無理強いされたと弁護士報酬の支払いを拒否。弁護士は報酬支払いを求めて訴訟を起こし、妻は敗訴したという。
積年の恨みの果て
一連の経過を知る辻千晶弁護士は「長年、積もった怨念が強い場合、自分自身の幸せよりも、調停や訴訟で相手を苦しめることが目的化する。それが終わってしまうとストレスが増し、精神のバランスを崩してしまうケースもあります」と語る。
熟年離婚の相談があった場合、辻弁護士はこんなアドバイスを心がけているという。
「もらうものをもらって離婚すればすっきりしますよ。前向きに人生を考えましょう」
朝日新聞取材班