「老後2000万円問題」以降、「老後の蓄えが足りない」という焦りから、退職金を投資で増やそうとするシニアが急増しています。本記事では、保坂隆氏の著書『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)より、一部を抜粋・編集し、残りの人生を豊かに楽しく送るための、お金の心得を解説します。
「老後資金」は増やすより“減らさない”に徹する。退職金を「溶かさない」ために“甘い投資話”をどう見極めるべき?
「未公開株購入の勧誘」にご用心
「なんとかして持ち金を増やしたい……」
そんな思いが、あせりにつながり、被害に遭ってしまうケースも増えているようです。
その典型的な例として「未公開株購入の勧誘」があります。
ある日突然、知らない業者から電話連絡があり、「証券取引所に上場していない株を特別に譲渡します。上場すれば数倍の値がついて儲かります」などと購入を勧めてきます。
ところが、上場予定時期を過ぎても上場しなかったり、業者と連絡が取れなくなったりするケースが増えているそうです。
騙したほうに非があるのは明らかですが、こんなケースでは騙されたほうにも落ち度があると言わざるを得ません。被害に遭う人には「未公開株を手に入れたら儲かる」という欲があるからです。詐欺師たちは、その欲につけ込んでくるわけです。「うまい話は見ざる、聞かざる」にしておきましょう。
それでもどうしても心が動いてしまう場合は、最低限、その会社が実在するか確認すべきです。もし実在していたら、その会社に電話して未公開株を譲渡する予定があるかたしかめてみましょう。あるいは電話の主に「幹事証券会社はどこですか?」と尋ねるのもいいかもしれません。相手が答えに詰まったら、怪しいと判断してもいいでしょう。
シニアはむしろ、持ち金を増やそうと考えるのではなく、減らさないように心がけるべきだと思います。
そもそも、お金というのはいくらあっても安心できませんし、あればあったで無駄遣いしてしまうものでしょう。
仮に投資で退職金を2倍に増やすことができたとしても、あっという間に散財してしまう可能性も高いのです。しかも、散財に歯止めはききにくいものですから、もともとの退職金まで失いかねません。
まずは「今あるお金でやりくりしていこう」という考えを基本方針にするのが賢明だと思います。
保坂 隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長