2025年度入試結果から見える私立医学部の特徴
2025年度入試の結果からは、私立医学部入試において「模試の偏差値=合否」ではない傾向が、改めて明確になりました。
合格者平均偏差値を上回っていたにもかかわらず不合格となった受験生が一定数存在する一方で、平均偏差値に届いていなくても、当日の得点次第で逆転合格を果たした受験生も多く見られました。
これは、私立医学部入試が共通テストを前提とせず、学力層が幅広い受験生によって構成されていることが大きな要因です。
国公立大学では共通テストによって受験生の学力がある程度均質化されますが、私立医学部ではその前提がありません。そのため、各大学固有の出題傾向にどれだけ対応できているかが、合否を大きく左右することになります。
合格最低点が示す「大学ごとの差」
2025年度入試では、合格最低点(得点率)にも大学ごとの大きな差が見られました。
8割以上の得点率を求める大学がある一方で、5割前後でやっと合格最低点に到達する大学も存在します。
重要なのは、「7割取れた」「できた気がする」といった感覚だけで判断するのではなく、志望校の合格最低点と比較して自分の立ち位置を把握することです。
また、合格最低点が一次試験時点のものなのか、最終合格者を含めたものなのかによって意味合いが異なるため、その点にも注意が必要です。
2026年度入試で大きく変わる日程構造
2026年度入試では、私立医学部入試の日程に大きな変化が生じています。文部科学省の通達を受け、これまで1月に一次試験を実施していた複数の大学が、試験日程を2月へ移行しました。
その結果、2月上旬(1日〜4日)に複数大学の試験日が重複する日程が増えています。単独日程となる大学には志願者が集中しやすく、反対に重複日程では受験生が分散するため、出願戦略が合否に直結する重要な要素となっています。
さらに、連日の受験による疲労やパフォーマンス低下も無視できません。「どの大学を、どの日程で受験するのか」という判断は、学力だけでなく、受験全体を見通した戦略性がより強く求められるようになっています。
難易度・配点・方式の多様化
私立医学部では、大学ごとに難易度設定や配点、試験方式が大きく異なります。
英語・数学・理科を均等に評価する大学もあれば、英語や数学を重視する大学、さらには3科目型や選択制を採用する大学もあります。
こうした違いは、受験生の得意・不得意によって有利不利を生み出します。また、後期日程や共通テスト利用入試など、合格の可能性を広げる制度も複数存在しており、それらをどのように組み合わせるかが重要になります。
私立医学部入試は「情報戦」の側面を強めている
2026年度入試に向けては、募集人員の変更、試験方式の変更、学費改定など、大学ごとの細かな変化が相次いでいます。特に学費の引き下げは志願者数や難易度に直結し、数年単位で偏差値構造に影響を与える要因となります。
私立医学部入試は、単なる学力勝負ではなく、最新情報を正確に把握し、自分に合った大学や入試方式を選択できるかどうかという「情報戦」の側面を強めていると言えるでしょう。
私立医学部入試の具体的な分析や対策はオンデマンド配信「私立医学部31大学 入試分析会」本編をご覧ください。
尾木 歩
医系専門予備校メディカルラボ 教務副統括

