納車1ヵ月後に起きた悲劇

納車から約1ヵ月後のある日、信号待ちで突然ギアが入らなくなったのです。

「えっ!? うそだろ……?」

結果はミッション異常。修理には少なくとも100万円以上かかるとのことでした。

その事実に、妻は驚きを隠せません。

「まだ納車1ヵ月だよ!? それで100万円って……貯金もないし、このままじゃ家計回んないよ。どうするの!?」

中古外車の洗礼に頭を抱える平山さん。

「外車なんて買うんじゃなかった……」

修理して乗り続けるか、手放して安価な車に買い換えるか――。どちらを選んでも負担は大きく、苦しい選択を迫られていました。

「安くなった高級外車」の落とし穴

近年は車両価格の高騰を受け、新車ではなく中古車を選択肢に入れる人が増えています。

中古車ポータルサイトを見てみると、ベンツやBMW、アウディといった高級外車が「こんな値段で買えるの?」と感じる価格で売り出されていることも少なくありません。

そのため、今回紹介した平山さんのように「憧れの高級車が手の届く価格で買えるなら」と、少々無理をしてでも思わず飛びついてしまう人もいるようです。

しかし、こうした「安く見える高級外車」には注意すべき落とし穴が存在します。

中古外車に潜む「維持費」のワナ

たとえば、外車の場合は部品を海外から取り寄せる必要があります。そのため、国産車と同じ箇所が故障した場合であっても、修理費が想定以上に高額になりやすいです。なお、正規ディーラーでは、部品代に加えて工賃も高くなる傾向があります。

また保険料についても、外車の場合は保険金支払いのリスクを評価する「型式別料率クラス」が高い傾向にあるため、国産車よりも割高となっています。

こうした維持費を十分に想定しないまま購入した結果、「思った以上にお金がかかる」「家計が維持できない」と感じ、短期間で手放す人が少なくないのです。

車は購入時の価格だけで判断するのではなく、燃料費・保険料・車検・修理費といったランニングコストまで含めて検討しましょう。とくに中古外車を検討する場合は、維持費を含めても家計に無理がないか、事前に試算を行うことが大切です。

辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表/CFP